21. Aug. 2007 (Tue)

トランスフォーマー[★★★☆☆]

実家で子供の世話を見てくれるというのでありがたくおでかけ。さてどこに行こうかね…「私にいい考えがある」 (ちゃーららーらー♪)
というわけであれだ。トランスフォーマーの映画版を見に行くぜ。監督は「アルマゲドン」「パールハーバー」などの大ヒット作を連発したあのマイケル・ベイ…って、それはいきなり暗雲立ち込めまくりのトンデモ映画の予感です。
お勧め度はまあ3ってとこでしょう。メカがガショガショと変形するのを見れればOK満足、という人むけ。

▼概要
そのへんの適当なメカをスキャンしてその姿になり、メキメキと巨人の姿に変形できる宇宙怪生物トランスフォーマーさんたち。じつは地球にもいるんです。創造のエネルギー、「キューブ」を求めて全宇宙を放浪していた彼らですが、ついにそのありかを見つけたって寸法です。
冴えない青年サム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)はその攻防にいやおうなく巻き込まれてゆくのだった…

▼誉
セルアニメやトイの限界をぶっちぎりではるかにこえて数万点のパーツがめきょめきょと形を変えていく変形(しかもモーフィングしない!)とデザインの複雑さ、収まりのよさは特筆に価します。パンフレットによるとこれは山口圭二という人の仕事だそうで。ほんとにこのとおり変形するトイ出すのは無理だろうなあ。

スピード感のある戦闘シーンやアクションも多く、馬鹿馬鹿しくもにぎやかな娯楽作品という感じです。
あとスタースクリームが今回F-22なのでらぷたん大活躍という感じですよ。

▼貶
ひょっとしてマイケル・ベイてトランスフォーマー嫌いじゃね?などと思わせるトランスフォーマーたちの扱いの軽さ。ストーリーを人類側が引っ張る構図なので事態の収拾を全力で回避するアホアホ団として描写されているような。いやまあ、もともとのアニメでも大してお利口な連中ではなかったのは事実だが。

何を見せたいのか、どこに注目してほしいのかいまいちよくわからんカメラ運びにお約束をこまごまと外す話運び。これは不満。いくらなんでも外しすぎだろ。
たとえばね、車椅子の少年が歩けるようになるにはベーブルースが約束のホームラン打つとか、遠くにもらわれていった犬がアメリカ横断して会いにくるとか、すげえ頑張ってリハビリするとか、そういうイベントが必要なわけじゃないですか。そういう抑えておきたいツボを全力スルーしてなんとなく立っちゃったりとかするわけで。

思春期青年の成長ものとして全体が構成されているにもかかわらず成長してんだかしてねえんだかよくわからないし、政府や軍の関係者も電波とチンピラぞろい。まともなのはヒロインと国務長官ぐらいだぜ。

あとパンフレット!映画のパンフレットの費用対効果に満足したことはかつてないが、いくらなんでも出てくるロボの一覧ぐらい載せるべきだろ!TF関係ないエッセイストのコラムとかいらねえよ!!

▼まとめ
まあメカがガショガショと変形するところを見に行ったのだからして期待したものは一応ひととおり入ってた。ので満足すべきではあるんだが。そう考えるとホームドラマが邪魔ていうか母ちゃんがうざすぎる。
メカももっとうまく見せてほしいという気もするよね。たとえばもうちょっとカラフルにして個体を見分けやすくするとか。たぶん観客の半分はトランスフォーマーが何体出てきたのかすらわかってないはず。どのロボがどれなのかも区別できてないはず。
まあそんなこんなでおすすめ度は3。吹き替えでもよかったかなという気はするが、吹き替えでもオプティマスプライムの名前は「コンボイ」にはなってないとおもうのでまあいいや。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

17. Aug. 2007 (Fri)

デジャヴ[★★★★☆]

デジャヴをDVDで見ましたよ。デンゼル・ワシントン主演の刑事ミステリー、の皮をかぶったなにか。お勧め度は俺としては4にしたいところ。[ASIN: B000PTYQZ6]

さあ困ったぞ。これはまたネタバレ厳禁すぎる。

▼概要
ハリケーンの傷跡も生々しいニューオリンズの街。ダグ(デンゼル)はATF(FBIの同類)の捜査官として事件を追うのだが、ある被害者の周辺に不自然な点が多すぎる。調べれば調べるほどつじつまが合わなくなる事態。一方事件は画期的なハイテク装備を携えた極秘の捜査チームにダグが編入されることで思いもよらぬ進展を見せるのだが…。

▼誉
なかなかこれは考えオチ。意外と頭使って組み立ててます。伏線みっちり。

▼貶
まあいろいろ突っ込みたいところはあるけど、それはきっと野暮ってものなんだろうなあ。この際すぱっと無視すべきなんだが。それでも無視できないところはあるわけで。それすなわち、ここまでやったんなら伏線をあますところなく回収してくれということ。詳しくは追記部分に

▼まとめ
観客を次々とナニソレ方向にひきずり回す豪腕トンデモ映画かと思いきや、結構繊細に詰めてあったりもして意外と楽しめる。映画のストーリーの謎とかをこねくり回して楽しむのが好きな人向け。

さて、以下はネタバレ。もうバレバレに書いてあるのでまず映画を見て、四日後に読んでくれたまえ。

一応文字色も変えておこう。

この手の映画は全力で考察せずにはおれないのがSF者の性といういうやつだが、前提条件として映画の内容を全肯定しておきたいと思う。関係者の証言はすべて真実で、映像として出てきたものも全部そのまま受け入れる。それでもかなりのところまでつじつまを合わせることができそうだ。


何より重要なのは「過去に干渉して歴史が変われば、時間の流れは分岐して、干渉元の世界はいずれ消滅する」という証言。
これはつまり、歴史は事実上改変可能でありながら、タイムパラドックスが生じないというなかなか面白い設定だ。パラドックスを回避するために歴史の分岐を用いるタイムトラベル物は数多いが、そういうのは「歴史改変してもこっちの世界はそのままだしなあ」的な一種の徒労感が伴うのだがこの設定はそれを無理矢理回避しているのが画期的ではないか。改変元の歴史でどんな不幸があろうとも、別にいいじゃんなくなっちゃうし!てなもんだ。まあ世界を丸ごとひとつ消滅させているすげえ大虐殺という解釈も可能だが気にしたら負け。

さて、この世界観のもとでは、歴史の改竄があったとしても改竄された側は直接そのことを知ることはできない。そこんとこは不自然な出来事から推測するしかないだろう。

推測に入る前に、時間の流れに名前をつけておこう。映画の冒頭からの時間の流れを歴史1とする。途中、ダグがマシンを使って干渉することによって生じた新たな時間の流れを歴史2、もし歴史2から過去に干渉してさらに時間の流れを作るのであればそれを歴史3、以下4、5、6…と数字を増やしていくことにしよう。使わないけど。

では犯人の行動を追ってみよう。ノートラブルでテロが成功する場合、犯人はどういう予定だったかというと

自分の車に爆弾設置

船に自分の車を乗せる

バイクで橋から高見の見物

クレアから中古車を買う

とまあこんな感じ。ところが歴史1での実際の犯人の行動はこんな感じだ。
刑事ラリーに車を傷つけられる(かわりの車が必要に)

ラリーを拉致って焼殺

車といっしょにクレアを拉致

クレアの車に爆弾設置

廃屋でクレアにガソリンをかけて以下略

クレアの車を船に載せる

バイクで高見の見物

逮捕

尋問
もちろんガソリンでちょっと焼いたぐらいでは死体は消滅しないので、それは始末しなくてはいけないのだがそれはともかく。

ラリーが登場するのは例のメモが存在するから。つまりこの世界は既に改変を受けている。言われてみればもっと直接的な証拠もあるですね。クレアの部屋のダグによる遺留品や、廃屋に突っ込んでる救急車など。

歴史1は既に未来からの改変を受けていました。干渉してきたひとつ前の歴史を命名規則に従って歴史0としよう。

ここで重要なのは、マシンの描写によると歴史0から歴史2に直接干渉することはできないだろうということ。−1以前の歴史から歴史1への干渉も同じ。だから、歴史1を形づくるために救急車に乗って廃屋に突っ込んだダグがいるとすれば、それはダグ0でしかありえない。ダグ−1やダグ−2が歴史1に来ているということは基本的にないわけだ(歴史0を経由してやってくることは可能だが考えなくてもよさそう)。まあいずれにせよ未来からやってくるダグは一人だけってことですな。

この「現在の歴史は既に干渉されている」という発想はタイムトラベルの直前ダグによって語られるんだが、ここ字幕の訳がなっちくてよろしくない。「これは二度目?」
英語は「What if I already have?」となっていて、「二度目だとしたらどうだ?」ぐらいの意味かと。単なる問いかけではなく、説得のニュアンスが入っているのがポイント。タイムトラベルの実行を渋る科学者が急に前向きになるのはこれを受けてのことだから、こっちのほうが話の筋が通るです。この言葉で既にタイムトラベルの成功例があるんだという確信に到るわけだ。

では歴史2における事件当日のできごとを時系列で列挙してみよう

8:30 ダグ1、救急車を奪って疾走
そのころ、犯人2はクレア2にガソリンかけまくり。
直後、ダグ1、救急車で廃屋に突撃。
直後、廃屋爆発、犯人2クレアの車で出発。
直後、ダグ1、クレア2とともにクレア自宅へ移動。遺留品残しまくり。
9:45 クレア2、ATFに電話
10:10 クレアの自宅を出発
10:50 フェリー出航

遺留品を考えると、歴史1でも、ダグ0が救急車で突撃してからクレアの自宅に移動するまでの流れはこれ以外にはちょっと考えにくいです。犯人1視点では、爆死させたつもりが尋問に出てきた刑事ダグはぴんぴんしてたので、くそう主人公補正のタフガイめぐらいには思っていたようではあるな。そんで一緒に焼死したと思っていたクレアが実際どうなったかは本気でわかっていなかったものと思われる(尋問でもダグのほうが知ってるはずとしか答えていない)。まあ死体が発見されたらまずいですから確認しにいくぐらいのことはしてるかもで、だとすると脱出したことまでは既に把握していたのではなかろうか。

余談。ワニに食われている死体はダグ0ではないことがこの流れからもわかる。わざわざ食われに戻るのは変だし、直接ばらした死体が尋問にきたら、いくら凶悪犯オースタッドでもすこしは気にするでしょ。あれは普通にラリーでいいと思われる。腕白いし。

さて、ダグがわざわざ歴史を改変するだけの動機は何かと言えば要するに惚れたクレアが死んでたからだから、ダグ0の世界でもクレア0は死んでなくちゃいかん。クレアが死ぬのはラリーが車を傷つけたのが原因だから、何者かがラリー0にメモを送っただろうてことになるね。たぶんダグ−1あたりの仕業かと。メモを送らなければ、テロはともかくラリーとクレアは無事だったんじゃなかろうか。余計なことをしたもんだ。

まとめると、映画の前半の歴史は既に未来からきたダグ0によって改変された歴史1で、主人公のダグ1は新たな歴史2でダグ0の行動を上書きしているということになる。ダグ1は結局船を助けて爆死するけど、ダグ0はテロを防げず冒頭の死体袋のどれかに納まっていたかもしないね。そういえば携帯電話の呼び出し音をダグ1が気にする描写がありました(ダグ0もタイムマシンに携帯電話は持ち込まなかったと思われるが、ラリーの携帯電話ならば入手の可能性がある。)

で、ダグ1が爆散した歴史2にはダグ2がいるわけで、クレア2と二人でラストシーンとあいなるわけです。

OKOK。これで伏線は回収されてつじつまが合いましたよ。


嘘です。解決されてねえよ!
なにより疑問なのは歴史1の当日朝におけるクレア1の動向。

9:45 クレア1、ATFに電話
10:42 クレア1の遺体が発見される
10:50 フェリー出航

この3つの時刻は確定事項。ほかにもクレアの部屋の遺留品やクレアが赤い服に着替えていたことから、ダグ0がクレア1を助け出して自宅に連れ帰っていたと考えるほかない。
しかしながら、このあとクレアに犯人オースタッドが関わっていたとも考えにくい。それでなくても大仕事で忙しいのに、わずか1時間でクレアを発見し、ダグ0と戦い、切りそびれた指をちょんぱし、目立たない場所でこんがり焼き殺し、上流から川に流さねばならない。それになにより、オースタッド1の証言からそんな大冒険があったとは読みとれない。

まああれだ。一人だけそれが可能な人物がいるのだが。あれだ。ダグ0。動機がまったくないけどな!

あとクレアの車のカーラジオがつけっぱなしだったのとか、当日朝のラジオで停電の話をしていたのもなにげに意味不明だと思います。受信先でも電気を食うのだろーか?

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

13. Aug. 2007 (Mon)

キャプテンがいつのまにか実写映画化してた

しかも今月上映。近所では電車で30分のところでやっているようだ。
ハナは原作の大ファンなので見たら暴れるだろうか。そうでないことを祈りたい。

しかし映画とか見てる暇がなくて困る。トランスフォーマー見たいなあ。

Posted by AoVA at 12:55 | ⇔ 0 | # 0

01. Dec. 2006 (Fri)

間宮兄弟[★☆☆☆☆]

ハナになんとなく余裕があるようなので、借りてきたどうでもいいような映画を視聴してみるテスト
というわけで間宮兄弟[ASIN: B000EGCTWC]。
40歳の童貞男([ASIN: B000GTLQPS])とどっちにするか一瞬迷ったがこちらにしたことに特に理由はない。

ゆるゆるほのぼの系の映画ってことになってます。ほんとにそうならどんなによかったか。

▼概要
間宮兄弟は仲良し兄弟。兄はメーカーの製品評価員、弟は小学校の公務員。中年だけど2LDKで二人暮らし。一緒に銭湯に行き、並んでナイターを見、レンタルの映画とボードゲームで夜更かしをし、布団を並べて眠る。

小学生がそのまま大人になったかのように純真で、当然ながら女っ気はないわけで。
そんな兄弟が一念発起、顔見知りの女性を自宅のカレーパーティーにご招待。
でも人々は、この兄弟のように純粋じゃなかったのです。

▼誉
さりげない日常をディティール多めに書こうという姿勢はまあ評価できる。周囲の人がドロドロとした人間模様を描いているのも兄弟の純真さを際立たせる手法としては妥当感。あと女性陣はまあ綺麗どころというイメージ。とはいえ非モテまっしぐらのこの兄弟にはハードルが高すぎるのでリアリティを削ぐわけで。むしろ不満要因なのだが。

▼貶
ディティール多めを目指しているはずが圧倒的に足りない。たとえばパーティーの準備を相談するシーンは5分ぐらいかけてアイデアが2つぐらいしか出てこない。で、結局そのアイデアもちっとも後に繋がらない。万事この調子。ビジュアル的にも造り込み感があまりに不足。このため、ただ薄い話をトロトロやってるだけの映画という印象になる。漫画ならパッと読めるのに!

あと時折出てくる本筋的には無意味な着ぐるみとかの描写もなんなんだか。おまえらは存在自体が滑稽ですよという意味ですか。

▼まとめ
これが美人姉妹なら世間ずれしてない箱入り娘ってことで人気も出そうですが、空気の読めなげなうらびれたおっさん二人となるとちとつらい。なにより兄弟の閉じた人間関係以外に救いのまったく見出せない恐るべき結末。こういう奴らは何をしても一生こうなんだよと断言されてるような空恐ろしさ。
いいじゃないかカーストの最下位でも幸せなら。って感じのいい事言ったつもりなんだろうなあ感が漂います。わざわざ最下位にいることを自覚させておいてそれはないだろう。

というわけでおすすめ度1。この残酷さに鈍感でいられる人ならもうちょっとマシだというかもしれない。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

04. Nov. 2006 (Sat)

スネーク・フライト[★★★★☆]

子供をハナ母にお預けして、スネークフライトを見てきました。思うにハナと二人で映画に行くのは出産以来ですな。

▼概要
もしも数千匹の毒蛇がジャンボジェットの中に放たれたら?
閉鎖空間の恐ろしさと人間の本能的な爬虫類への恐怖がいっぺんに味わえる、デイヴィッド・エリスの職人技が升目に沿って折り目正しく光る秀才肌のおバカ映画。原題は「Snake On A Plane」でこれまたわかりやすいぞ。主演はサミュエル・Lジャクソンでキャリアから考えると異常にライトな仕事を実に楽しそうにやってます。

▼あらすじ
海と太陽とおっぱいの島ハワイ。アウトドア派な若者は韓国系マフィアの犯罪を目撃し、死ぬまで追われる身の上となります。で、FBIがやってきてアメリカ本土での裁判で証言してよとか言うわけです。
で、いちいちキャラの立ってる乗客をとりそろえた飛行機で護送してもらうという寸法。で、どうなるかといえばタイトルから予想されるあらゆることが起こるわけで…。

▼誉
とにかくきっちりかっちり徹底して作りこんである映画というのが第一印象。およそ「飛行機でヘビが出てくる映画ならこういうシーンがあってしかるべきじゃね?」ってのは完全に網羅されているといってもいい。酸素マスクの蓋が開いたらバラバラと落ちてくる。トイレで用を足そうとズボンを下ろせばしかるべきところにがぶり。おねーちゃんがおっぱいをめくればがぶり。あらゆる要所に伏線が張られ、また伏線は必ず回収され、調度品から人員配置に至るまで予定調和の一覧表に最初から載っているという有様。ここまでウェルメイドなパニック映画って見たことないかもしれません。

▼貶
惜しむらくはあんまりにも秀才肌過ぎて蛇さんの何考えてんだかわからん爬虫類的な空恐ろしさがやや希薄なのが残念。どうも個々の蛇が蛇的判断によって襲い掛かってくるというよりは後ろで糸を引いている制作側のコントロールがあるような気がしてなりません。まあ破綻しまくってるよりははるかにマシなんですが。

あとエンドロールの映像が本編と関係ないってのはちょっと損した気分ですよええ。

▼まとめ
期待されるストーリー展開の要所と想定される顧客層へのアピールをばっちり押さえに押さえまくった驚異の作りこみ。映画館で見るより皆でワイワイ見たい映画。理想を言うならゴールデンタイムのテレビ放映。あ、おっぱいとか出るからゴールデンタイムは駄目ですか。まあ深夜でもいいや。そんでなるべく多人数で見ながらチャットかなんかで中継するのがおそらく最高。「○○キター!!!!」が乱れ飛ぶ様が目に浮かぶ。
秀才っぷりは素晴らしいのだがある意味全てが予想の範囲内でもあるわけで、予想を超えてはっちゃけた部分がほしかったという贅沢を込めておすすめ度4。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

09. Aug. 2006 (Wed)

戦闘妖精雪風[★★☆☆☆]

スカパーで撮れてたのでみた。
神林長平の傑作「戦闘妖精・雪風(改)」とその続編「グッドラック―戦闘妖精・雪風」をもとに読んだ人対象にずばずばずばっとダイジェスト。DVDは全5巻らしい。

削りに削ってどうにか2時間ちょっとに押し込んであるのでお話の見通しは果てしなく悪いですが飛行機のアクションはよく出来てます。おすすめ度2。

▼概要
謎の異星体、ジャムに突如侵略を受けた人類は、防衛組織FAFを結成し、一進一退の攻防を続けていた。そこは南極に開かれた「ゲート」の向こう、惑星フェアリィ。人類の軍事システムは高度に進歩した「機械知性」を取り入れることで、どうにかジャムに対抗することができていた。そのひとつ、戦術戦闘電子偵察機・雪風。機械のような、と評されるパイロット深井零と雪風の関係が、戦争の内実を明らかにしてゆく。

▼誉
原作のすばらしいとこは置いといて。CGを大幅に取り入れつつ落ち着いた色味で統一した戦闘機のイメージはなかなかに美しい。縦横なカメラワークの空戦もそうですが、4話の離陸シーンなんかもいいですね。
あと極めて高度な機械知性である雪風のユーザインタフェースが超シンプルなのもお話の構造を強化するのに貢献しているです。

▼貶
力の限りお話がはしょってあるので、はっきり言って原作読んでないとわけわからん。台詞が少ないのはいいとしてボソボソ喋るからすんげえ聞き取りにくいしね。
あと飛行機の形が航空力学的にそれどうなのよと思わせる要素がちらほらと。いやかっこいいんだけどいいのかそれ強度的に。
あと、ストーリーが淡々としてたり凄惨だったり暗かったりするのにエンディングテーマがやたらさわやかなのはちょっといや。

▼まとめ
絵が綺麗なんでBGV的に使えるんじゃないかねえ。原作読んでる人であればおすすめ度2ぐらいでどうでしょうか。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

29. Jul. 2006 (Sat)

時をかける少女[★★★★★]

細田守最新作、「時をかける少女」を見てきました。ていうか都内で単館しか上映してないってどういうこと!?

おかげで1時間前に映画館に着いたにもかかわらず立ち見とか言われて、結局3時間後の整理券を取得するに至ったのである。まあ土曜ということもあるかもしれないが。

さて、筒井康隆原作の本作は幾度も映像化されているのだが、結局のところ記憶に残っているのはやはり1983年、原田知世が主演の大林宣彦版。超わっかりやすくて死ぬほど歌いやすい主題歌もすばらしかったしなんといっても『原田知世はいい!』

…えー。こほん。

今回のアニメ化は原作や既存映画に囚われず大胆にシリーズ化しつつもその瑞々しさは損なわず、かつ極めて高品位に作りこまれたウェルメイドな大秀作として完成している。
真夏日のように青い空、はるかにそびえる入道雲。汗を撒き散らしながら全力疾走する涼やかなデザインのキャラクター。そこには熱さがありながら暑苦しさを感じさせない。
だから激暑い真夏日にこそこの映画はふさわしい。おすすめ度は文句なしに5。夏休みのうちに見るのだ。さあ。

ネタバレ対策として伏せる事にする。

▼概要
男友達二人とつるんで野球の真似事ばかりしている快活な少女、紺野真琴。だが放課後の化学準備室、彼女の運命はかわった。

タイムリープができるようになってしまったのである。くだらないことにこの稀有な機会を浪費する真琴だが、そのささいな判断の積み重ねが日常を混迷させていく。

▼誉
繰り返されるささいな日常、だがそれこそが判断の連続であり、未来は選ぶ事ができ、すべてが自分の選択によってもたらされる。世界のありかたは変わらない。だが少女が世界をどう認識するかが変わることはそれ以上の変化だと思わせる。実にこう、青春ドラマとして超直球なところがすばらしい。
また、細田作品ならではの緻密に組み立てられた画面構成や同アングルの反復による緩急のつけかた、驚かせ方など凝りに凝った演出が、本作のストーリー構造にがっちり適合していつにもまして魅力的。
そして何より、ヒロインである真琴の体当たり感がすばらしい。全力で走り、考える前に跳び、ゴロゴロと転がって頭を強打し、すっくと立ち上がってまた疾走する。全身から涙を振り絞って泣き、カラカラと笑う。キャラクターの魅力は本作の魅力の一端を担っているといえよう。

あとラベンダー。その立ち位置は上手いなあ。

▼貶
一箇所、一箇所だけ反則。なんかずるい理屈をこじつける事はできそうだけどっ。願わくば皆様がこの齟齬に気付きませんように。別に気付いても嬉しくないから。あと「タイムリープ」という概念そのものが(登場人物によって)誤解されている可能性が極めて高い。この点については後日考察したい。

▼まとめ
かつて「秘密のアッコちゃん」の細田解釈として『お人よしの馬鹿が人助けのために超常現象を起こしつつ空回りする』というのがあるとされていたわけだけど、中盤の真琴はまさしくそれそのもの。違うのはこの場合、目的が超常現象そのものによってもたらされた不幸をリカバリするためであり、そしてその努力が真琴本人の考え方にも少しづつ影響を及ぼしている事だ。真琴本人が抱えていた問題の解決は超常現象ではなく、それを通して得た本人の成長によってもたらされる。本作はロマンスであり、SFである。そして何よりも、成長物語なのであるな。すばらしいよ白細田。

ストレートな満足感が得られるよい映画であった。なんつうか若返っちゃうね。もちろんおすすめ度は5。さあ明日にでも映画館へ行くのだ。やってるとこ少ないけど。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

28. Jul. 2006 (Fri)

ルパン三世 ルパン vs 複製人間[★★★☆☆]

ルパン三世 ルパン vs 複製人間を借りてみた[ASIN: B0000C4GN1]

なぜかというと先日のワンピースの映画についてハナが

こども向けキャラクターコンテンツの一環として、映画なりアニメなりマンガなりゲームなりを作ろうとするとき、作り手が絶対やろうとしてはいけない事の最たるものは、「主要キャラクターを勝手に殺す」「主要キャラクターに無意味な殺人をさせる」の二点だと思います。

のたもうておるわけで。

そうなればやっぱりこの作品を連想せざるを得ないわけだ。一応両方の条件を満たしてるよね。
まあルパンは元々不殺じゃないから前提が違うのかも知れんが。

▼概要
ルパンが死んだ!あまりにあっけなく執行されたその死刑、間違いなくルパン本人の死体。あまりの出来事に驚きを隠せない銭型だったが、当のルパン本人も同じ気持ちなのであった。
その影にいるのは不二子を介してルパンに接近する謎の男、マモー。彼がルパンにもちかける報酬、永遠の命の秘密とは?

▼誉
全体的に漂うお子様お断りのテイストと、やりっぱなし投げっぱなしのおおらかな作品世相の絶妙なバランスが魅力。変な演出もいっぱいあって気楽に楽しめる。

▼貶
カリオストロの城に作画レベル、構成レベルでは劣ることは否めない。まあ古いからなあ。大昔から生きながらえる術をもっていたマモーがなぜ今更秘宝をほしがるのか不明だし、そもそも最後のあれは複製とかそういうレベルじゃないだろうと。

▼まとめ
後に粗製乱造されることになるテレビスペシャルを考えればかなりルパン三世テイストが濃厚な本作。カリオストロの城でキャラ変わっちゃってる嫌いがないでもないことを考えると、それぞれの人物がある意味最も「らしい」のがこれかもしれんね。締めは三波春夫ということでおすすめ度は3。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

27. Jul. 2006 (Thu)

青の6号[★☆☆☆☆]

これまたスカパーでやってたので青の6号を見た。アニメスタジオGONZOの出世作。原作は小澤さとるだけどあんまり関係ないのかも。[ASIN: B00026CJ3S]

まあ結構前の作品でもあるし、あんまり集中して見てなかったのは確かです。とはいえあんまりといえばあんまりなわけで。おすすめ度1。

▼概要
なんかすごい国際組織『青』に所属する潜水艦「青の6号」は、「青」を裏切り大陸をばかすか沈め新種の知的生物を大量に生み出して粛々と人類滅ぼしちゃうぜーという勢いの科学者ゾーンダイクと対峙する。
でも人類は結構劣勢なわけで。ゾーンダイクは何考えてるかわからないわけで。もういっそのこと核でもぶちこんじゃおか?とかなんとか。そんな中、流しのエースパイロットである主人公は敵である半魚の娘に魅入られるのであった。

▼誉
製作時期を考えるとCGとセルアニメーションの融合としてはかなり成功した部類と思えます。

▼貶
どうもボソボソ喋る系の主人公は台詞が聞き取りづらくていけません。イライラしますな。
ていうかお話はわからんでもないんだが、主人公はやたら持ち上げられてるのにてんでやる気なくてイライラ。
敵は敵でぎゃあぎゃあ五月蝿くてイライラ。
とどめにゾーンダイクの言い分が、もうまるっきりイカレているにもかかわらずなんだかいい事言ってるかのように演出がサポートしているのでイライラ
なんというかこう、うっとおしい話運びでありました。

▼まとめ
結局絵が綺麗なだけ(といってもデザインは好みじゃない)でかなり抵抗感のあるお話であるな。話に筋が通ってないわけじゃないんだけど、話の通じない奴がその中心にいて全てを支配しているようなものなのでにんともかんとも。まあ正直楽しめませんでした。残念。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

26. Jul. 2006 (Wed)

雲のむこう、約束の場所[★★★☆☆]

雲のむこう、約束の場所をスカパーで録画したものがあったので見た。新海誠、2004年。[ASIN: B000793FBK]

例によって素晴らしくもディティールリッチですさまじくも光線設計されたビジュアルがすばらしい。とはいえおすすめ度は3。

▼概要
戦後分断統治されたという設定の日本。きな臭い世相ながらも一応の平和。二人の少年は北の土地に思いを馳せ、いつかはその土地へと少女と約束を交わす。だが、世界は形を変えつつあり、三人はその渦中にいることに気付いてすらいないのだった。

▼誉
新海作品ならではの被写界深度の深い、瑞々しいビジュアルが青森の田舎という舞台設定とも相まって縦横に楽しめる。それに高校生が飛行機を手作りするってのはそれだけでかなり胸踊るシチュエーションですよ。ラストの叙情感も落としどころとしては悪くない。

▼貶
とはいえお話はちょっと強引にすぎないか。やりたいことはわかるんだけど、青春の暴走にも限度があるってものですよ。あとひこうき。なんで普通っぽいアレを修理するとあんなヘンテコなものができあがりますか。高校生がゲテモノ機体を丸々新設計はさすがに無理がないですか。つうかユニオンの空軍は仕事しろという感じです。
あと台詞が聞き取れません。弱った。

▼まとめ
何しろ絵が綺麗なので、BGVとしては優れているといえるのではないか。とはいえこれはちょっとあんまりにもセカイ系。もうちょっと手堅くまとめてほしかった。故におすすめ度3。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

24. Jul. 2006 (Mon)

ワンピースTHE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島[★★★☆☆]

ワンピースTHE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島を見ました。
細田守監督初の長編映画作品、ということでいいのかな?デジモンの二作目をカウントするべきだと思うが…。
まあ時節柄話題性の高い細田監督作ということもあるし、そういえば見てなかったよねえということで借りてきた。
[ASIN: B0009ME7H6]

2005年春に公開された人気シリーズ「ワンピース」の劇場版。
おすすめ度は3。好き嫌いで言えば好きだが、春休み子供向け映画としてはどうかなあ。

▼概要
個々の優れたパフォーマンスと熱い信頼を胸に例によって旅を続けるルフィ海賊団一行は、いかにもな餌に釣られてなんだか総合レジャーパークっぽいオマツリ島に乗り込んでしまう。一見華やかで面白おかしいその島は、海賊団の存亡を揺るがす恐るべき罠だった…。

▼誉
溜めを充分に生かしたスピーディーなアクションの組み立てと、随所に見られる細かい遊び心のディティールなど、楽しむポイントは多いと思えます。ゲスト海賊団たちのせつなげな人間模様も魅力的。

▼貶
困った事に主人公一行の立場が悪すぎる。既存ファンが多く子供たちが感情移入すべき主人公一行は男爵の手玉に取られ、フォローが弱いもんだからカタルシスを与えるに至らない。またオマツリ島といいながら楽しんでいるのは男爵一行ばかりで、もうちょっと客にサービスしてもいいんじゃないかという気はするな。

▼まとめ
ワンピース自体に思い入れはないのだけれど、予告編でみせられる夏でサンバでお祭だ!って感じの楽しさからは程遠い。せめて序盤に一行に散々いい思いをさせてから試練を与えるとか、万事片付いてから何か楽しいイベントを最後に入れるとか、そういうわかりやすいサービスをいれとかないとかなり騙されたって感じになるのではなかろうか。そういう意味では観客もまたオマツリ男爵に騙されたわけだな。
オマツリ男爵の謀略にしても、もうちょっとわかりやすさがほしいところ(変な花粉を飛ばすとか)。このあたり少々強引なイメージがあるね。

ていうかこの話で一番盛り上がるのは「チョビヒゲ!」って所なわけで。だったらもういいじゃんチョビヒゲでとか思わせてしまうのはどうなんだ。

とはいえ個々のカットの組み立てやアクションには優れたものがあるし、ゲスト海賊団の悲哀は悪くない。好き嫌いで言えば好き。そんなこんなでまあおすすめ度は3かなと。

▼余談
黒い!黒いよ細田監督!そんなにジブリはつらかったのか?
でもこれで毒が抜けてしまえば白細田に期待できるというモノ。

▼余談2
ハナがぐりぐりとえぐっているのでリンクしとく。君は手加減というものがないですね。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

22. Apr. 2006 (Sat)

New World[★★☆☆☆]

臨月でいつ出てきてもおかしくないってのになにやら理屈をこねるハナ。映画へつれてけーとかなんとか。ま、いいか。
というわけでニューワールド鑑賞。おおざっぱにいってポカホンタス一代記。お勧め度2。

▼概要
英国からインド航路を求めて新大陸に流れ着いたジョン・スミス一行。せっかくだからと砦を建設し、入植を試みるものの開拓は困難を極め、やむなくネイティブアメリカンとの交渉に赴くのであった。
名誉挽回をかけて交渉の任にあたるジョン・スミスだが、囚われの身となってしまう。未知の文化をもつネイティブのただなかに一人取り残され戸惑うスミス。
それはまた、王の娘ポカホンタスにとっても新世界への扉であった。

▼誉
みどころはなんといってもヴァージニアの自然の美しさ。アメリカは広いだけあって広大な自然がごろごろ残ってるんだねえ。また説明を極力排してディティールにすべてを語らせようという方向性にも好感が持てる。

▼貶
本作は実際のところポカホンタスの一代記であるにもかかわらず、一見したところ新大陸開拓団の艱難辛苦物語。前半の構成はあきらかにスミス視点。そのため中盤に視点が入れ替わるあたりで少々おいてけぼり感がまいったね。説明が少ないんだからそのへん組み立てに気を配ってほしいところ。
また細かいイメージカットの積み重ねが多用されるのだけれど、ややもすると見ているほうははっきり言えよといらいらしないでもない。

▼まとめ
ディティールリッチな映像美ではあるがストーリーの組み立てに爽快感が乏しくわかりにくいので落ち着かない。というわけで一般向けエンターテイメントって風情ではないわいな。そんなわけでお勧め度は2ですが映像美が肝である以上、ビデオで見てもしょーがないという気もしないでもない。

しかしこれだけ戦闘シーンがあるのにろくすっぽ血とか出ないのな。

Posted by AoVA at 22:43 | ⇔ 0 | # 0

08. Apr. 2006 (Sat)

新造人間 キャシャーン (#1〜3)

こないだのアレがアレすぎたので、思わず新造人間キャシャーンのDVD(第一巻)を鑑賞する。

既に一度第一話について書いたことがあるがここに引用しておこう

『たった一つの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体 鉄の悪魔をたたいて砕く キャシャーンがやらねば誰がやる』(ジャン・クーゴとか?)

というわけでなぜかキャシャーンの第一話を見る。

「公害対策アンドロイド」としてつくられたBK-1(後のブライキングボス)は製造時点で最強のアンドロイド。どのぐらい最強かというと大砲の直撃を受けても平気だし目からビームであらゆるものを破壊するぞ。いったいどんな公害を想定して作ったんだ東博士。

そしてそんなBK-1が暴れだしたとたん孤島の研究所を全面放棄してケツまくる東博士。おかげでBK-1は残りのアンドロイドも支配下に。

しかも研究所にはロボットを大量生産できるだけの工場設備と資材があふれているのでアンドロ軍団はロボットを作り放題。ブライキングボスがやらなかったら自分でやるつもりだったんじゃないのか東博士。

さらに「新造人間」計画がわずかな期間に完成したところをみると実は前から用意してあったんじゃないのか東博士。

そして愛犬ラッキーを新造犬フレンダーに新造する準備もラッキーが死ぬ前からとっくにできていた。準備がよすぎるぞ東博士。

フレンダー単体でもブライキングボスの腕を噛み切るぐらいのことはできるので、変形ギミックのかわりに超破壊光線を搭載したフレンダーを大量生産すればそれだけで充分なんじゃないのか東博士。

しまいには息子を新造人間化。これも準備はとっくの昔にできていた。もうやりたくてうずうずしていたろう違うか東博士。

というわけで東博士大活躍である。実は全部仕込みですカ?


以上、第一話「不死身の挑戦者」より。正しくは口からビームでした。鉄也君は父の汚名をそそぐための唯一の手段と思って自ら新造人間化に志願してるね。

第二話「月光に勝利をかけろ」では太陽エネルギーという弱点と、母親がスワニーの中に隠される経緯が語られる。

簡単にエネルギー切れを起こすキャシャーン。例の視界が黄色くなってかすむ現象にぐらぐらぐら。そんな大事な事は最初に話しとけ。そんで「キャシャーンのために無限のエネルギーを作る」とかなんとか大義名分を得て拉致されたアンドロ軍団で研究に着手する東博士。既存の技術と運用でカバーしようよ。

一方東博士の妻みどりはスワニーにIN。ていうか何の設備もない石牢に二人で閉じ込められて、しばらく後には処置は完全に完了していた。ってことはスワニーには最初っから「人間を取り込んで保存する機能」が付いてるってことだよね。どこまで用意が周到なんだ東博士。

第三話「廃墟の中に明日を呼べ」。
ふらふら無防備に出歩いてはロボットに襲われる幼馴染ルナ。その父如月博士は「MagneticField銃」の開発に成功していた。物理攻撃には滅法強いロボットも、このMF銃の怪光線の前にはひとたまりもないのだ。とりあえずライフル型の携行火器として完成したので今度は拳銃サイズまで小型化するため改良を続ける如月博士。そんな余計な造り込みしてないでライフルでいいから量産しようよとか思うのだが、これが博士という人種の不便なところ。

一方キャシャーンは、東博士が妙に気合入れて鉄也そっくりに作ってくれたもんだからルナに正体を気取られそうになってヒヤヒヤしたりとか。もはや新造人間なので、グラマーでスカートの短い薄着の幼馴染に接近されてもドキドキとかしないのだ。髪形変だしな。
んで、アンドロ軍団の襲撃を一蹴したついでに正体をばらしてしまうキャシャーン。壁を破壊して「こんな事ができる人間がいるものか!」とかみんなすごい力の強い人間だと思ってるのにそんなこと自分で言ってるあたり、かなりストレスがたまっているものと思われますな。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

02. Apr. 2006 (Sun)

CASSHERN[★☆☆☆☆]

ついにこの映画に手を出してしまった。ていうかHDDレコの容量が限界で見るか焼くかの二択。別に焼けばいいじゃんとも思うもののまあ見てから判断しろとかなんとか…。紀里谷和明監督、2004年。[ASIN: B0001A7D0O]

もう今さらなので本気でネタバラシをしながら書きますよ。おすすめ度1。

▼前提
タツノコプロのテレビシリーズアニメーションの傑作、「新造人間キャシャーン」を大幅に換骨奪胎してビジュアル重視で撮影されたSFアクション映画。監督は「宇多田ヒカルの夫」…名前なんだっけ?まあそんなかんじで。

アニメーションのキャシャーンがどんな話だったかは以前第一話を見直したとき書いた文章で確認していただきたい。かなり歪んでるが。

▼概要
軍事国家亜細亜連邦は度重なる戦争と環境汚染に疲弊していた。軍は東博士の「新造細胞」研究に活路を見出す。それは「第七管区の少数民族」がもつという「新造細胞」の驚異的な生命力を利用した臓器量産による画期的な医療技術だ。軍はそれによって兵力の増強を、東博士は病気の妻の延命を目論んでいた。

一方恋人の上月ルナとバイクで疾走する東博士の息子鉄也は「この戦争が終わったら、結婚しよう!」とかいきなり死亡フラグ立てた挙句、戦争に行って民間人を殺戮する任務の最中あっさり死んじゃいます。

そのころ東博士の新造細胞計画は遅々として進まず困ったなあとか言ってたら空からなんかすごい雷だか柱だかがずばーんと落ちてきて培養液の中の人体部品が勝手にくっついて新造人間が誕生。ゾンビみたいにうぁーうぁー言いながら出てくるので二度びっくり。鎮圧部隊が掃討するのですが結局数体が逃亡して、これが後のアンドロ軍団になります。このときガンガン非常ベルが鳴ってるのにポケーっとしてるルナの知能が危ぶまれます。

とりあえず新造細胞の培養液の効果を確信した東博士は息子の遺体をじゃぼっとぶち込み、鉄也もまた待つ事5秒で新造人間として生まれ変わってしまいました。このとき周囲をふらふらしてた鉄也の幽霊はいやんばかんと拒否していましたが生き返ってしまったものは仕方ありません。上月博士のプロテクトスーツを与えられ、なんとか一命を取り留めましたです。

一方行きがけの駄賃に鉄也の母ミドリを拉致して帝都を脱出した新造人間たちは、病気で死にかけのミドリをかついで極寒の冬山を越えたり なんかして遺棄された謎の城に到達します。城には戦闘ロボット軍団が山ほど眠っており、電源入れただけで世界征服のお膳立てが整いました。誰だよそんなの放置したの

このとき新造人間は4人おりまして、それまでドロドロしたビジュアルでうぁーうぉーと唸るだけだったので絵的にもサウンド的にも非常にウザかったのですがブライキングボス(に相等する人)がここで突如リーダーシップを発揮します。具体的には顔を洗ってスッキリしたところで演説を一席ぶつのです。

ブライ「我々は生きている!我々はまぎれもなく ここに生きている!」
おお、君ら喋れたんか
ブライ「しかし、人間はそれを認めようとはしなかった。そればかりか、目にもあまる残虐な手段を尽くして、われら同胞の命を排除した。」
しかもなんか難しい言い回し知ってるのな。じゃぼっと培養液から出てきたばかりにしてはインテリです
ブライ「命に優劣があろうか。生きるという切実なる思いに優劣などあろうか。ただひとつの生を謳歌する命の重みに優劣などあろうか。あるはずがない。」
しかもなんかヒューマニティーとか語ってます。これはヤバイです。

どうヤバイかというと、この世界の人間は博士も将軍もエージェントもどいつもこいつも全員、単調で間を取りすぎてる上に要点の不明なめちゃめちゃ眠い棒読みでしか演説ができません。ところがブライキングボス氏の演説は流暢な上熱意もこもっており、論点もわかりやすく圧倒的に説得力がある感じです。彼のこの類稀なる才能により、新造人間同士のリーダーをめぐっての内輪もめは無事回避されました。
あ、演説の結論は「人間皆殺し」だそうです。

さて、気合も入ったところでロボット軍団を繰り出して侵略です。パンチ力とかジャンプ力とか超すごいとはいえ、新造人間たちは4人しかいないんで実質ロボット軍団だけで戦争やってるみたいなもん ですが、なぜか軍部は新造人間のことばかり気にしてロボットはどうでもいいみたいです ね。そんなだから歩兵を無駄にすり減らすような作戦しか立てられないんじゃ…。まあいいや。

とりあえず上月亭は襲撃され、新造細胞とスーツで超人と化した鉄也君に返り討ちにあったりします。とはいえ屋敷(と例のヘルメット)は破壊され、逃げる途中で今度はロボット軍団の行列にでくわします。なんか変な奴がいるってんで火炎放射の洗礼を受ける鉄也とルナ。しかし、スーツの防御力はその程度屁でもないらしく、見事炎の中から立ち上がる鉄也はロボット軍団を文字通り粉砕。このときヘルメットをつけていない鉄也の頭がチリチリになってないのはまあいいとして、生身で転がってたルナも無事でした

その後鉄也はブライキングボスと一騎打ちを演じていつの間にか負けていました。負けついでにコダマの森みたいなところでいだきあってかなり堂々巡り感のある問答を繰り広げる鉄也とルナですが、唐突にルナがばったり倒れます。タタリ神のしわざでしょうか。都合よく通りかかった近所の遺跡に住む医者の応急処置を受け、なんとか一命を取り留めます。そしたら遺跡の集落に亜細亜連邦軍による襲撃が。虐殺イクナイと思った鉄也はとりあえず邪魔してみたりとか。そしたらそこに新造人間の1人が侵攻してきて軍隊とかどうでもよくなります。とりあえず伝説の救世主にあやかって「キャシャーン」と名乗ってみたりとか。

ところが一騎打ちしてたらルナが軍にさらわれたり。あと都合よく遺跡の門が閉まって一騎打ちの相手を閉じ込められましたよ。なんと中からは新造人間の力をもってしても開かないのです。でも外からはあっさり開きました。自動で。ま、義理もあるので一騎打ちを継続して、結果両者相打ちに。いや死んでないぶんキャシャーンの勝ちですが、あらゆる衝撃から守ってくれるスーツも刀はあっさり刺さるらしく虫の息です。

一方新造人間のなかにもまともに喋れない奴が一体いまして、こいつは脱出の時ルナが逃亡に手を貸したのでルナのファンなわけですが、これが一緒に軍にさらわれてなんかでかい列車で帝都へ連行されてゆきました。が、途中軍の科学者に発見され、もみあいになった挙句殺されそうになります。新造人間なのに学者に力負け。まあそれは回避され、帝都の実験施設に運び込まれます。

ちょうどそのころ遺跡で死にかけてるキャシャーンのところに冒頭のなんかよくわからない雷かなんかがずばーんと落ちまして、瓦礫といっしょに帝都の空からばらばら降ってきます。えー?
これはつまり、「新造細胞を持つ少数民族が住む第七管区の遺跡」の地下に帝都があって天井が抜けたということでしょうか。そんな近所だったのかよ!

まあ役者がそろいまして、キャシャーンとルナはブライキングボスの城にあっさり連行されます。よく考えたらもう他に味方の新造人間がいないので人外同士和解しようという魂胆らしいですね。昏睡状態の母ミドリを見せられたキャシャーンは激昂し、ブライキングボスとのどつきあいが始まりますがこれがいけなかった。鉄也が一言怒鳴ると、ブライはその5倍ぐらい難しい言葉を使って10倍ぐらい言い返します。掛け算すると50倍です。どう考えても口では勝てません。しかも殴りあいでもいつのまにか負けました

さて、軍隊の反撃で城に戦力がわーっと来るので、ブライキングボスも最終兵器巨大歩行戦車を発進させ、ぷちぷちと踏み潰します。ものすごくわかりやすいところにイカニモな時限装置がついているので、こりゃいかんと止めに走るキャシャーン。一方ボスは乗り込んできた将軍にある衝撃の「真実」を告げられて放心したところを鉄砲でうたれて死んじゃいます。衝撃っていっても見てる人全員がまず最初にそれを確認しようよって思うようなアレなんですけどね。下手に弁が立つ分、検証がおろそかになってしまったようです。

一方キャシャーンは時限装置をとめることが出来ず、爆心地で核爆発に巻き込まれますが、よくわからないバリアーで助かった模様。目の前で核爆発が起きた城の中も無事ではすみませんでしたが、ルナは核の直撃を受けても無事でした

で、ここで東博士がでてきて母ミドリを連れ帰ろうとします。まあ新造細胞の技術で生き返らせるつもりだったんでしょう。だがそのことで鉄也と言い争いになり、業を煮やした博士は拳銃でルナの脳天をぶちまけます

博士「すぐに生き返る」
おそらくルナも新造細胞で生き返らせるつもりなのでしょう。どうでもいいけど新造細胞で生き返ったら新造人間になっちゃうんだけどいいんですか東博士。

で、結局キャシャーン以外全員死んじゃってどうするのかと思ったら唐突にルナが生き返りました。これ以上ないってぐらいにグダグダになったところで宇多田ヒカルのキャッチーなテーマソングが流れ、強引にまとめます

とまあ、そんなお話でした。ってだいたい全部書いちゃったんだがいいのか。

▼誉
気合の入った造型なんかはさすがにデザイナー出身の監督だけあるといいたいところです。とはいえ印象をディティールで稼ぐ事にとらわれて、無駄な造型(でかい顔がついてる飛行機とか)多すぎ。

あと換骨奪胎とはいえ「人間と非人間の悲哀」とか「ルーツを欠いた被造物の嘆き」とかそういう要素は残ってるわけでそれはいいんじゃないかと。

あと宇多田の歌のウヤムヤ能力はすごいね!おかげでだいぶ救われてる。

▼貶
まずアニメのキャシャーンから考えればその醍醐味は「キック・アタック・電光パンチ」による圧倒的な破壊力による肉弾戦の爽快感と、「お前は死ぬのではない、壊されるだけだからな」「なにっ」に代表される人間でなくなること、それを人々に理解されない事による悲哀にあるわけで。あとフレンダー。

しかし前者の爽快感は尻切れトンボの戦闘シーンと基本的に負けてるか相打ちの戦闘結果により大幅にスポイル。

後者の悲哀はないでもないんだけど、問題はあくまで「世のため人のためやってるのに社会に受け入れられない」ことにあるべきなわけでそのへん映画では自問自答で勝手に自己完結しちゃってるか、あるいは「出自」ではなく「行為」によって受け入れられてないわけで。別の話になってしまう。

フレンダーいないし!

▼貶2
じゃあ映画単体としてみるとどうかというと、まずシナリオがかなり破綻してる。究極的には「不思議な新造細胞の力」「不思議な雷柱の力」「謎の要塞」でだいたい説明が付くというか、そこまで許容すると何でもアリになってしまう(たとえば「ルナが妙に不死身なのは新造細胞の液をちょっと浴びたからだ」とか「雷柱が落ちるとテレポートするのだ」とか)。そりゃまずいよ。

アクションシーンは前述のとおり、尻切れトンボで基本的に負けてるので爽快感とか無理。ていうかキャシャーンがほんとに主人公なのかも怪しい。

映像的にも色調を統一しすぎてみづらいシーンが多すぎるし、デザイナー出身にありがちだがとにかく空白恐怖症かと思うぐらいディティール過多の詰め込み魔人で、緩急に欠ける。これは編集面でもそうで、カメラがあっちに行ったりこっちに行ったりして落ち着かないし役者の立ち位置はバンバン入れ替わる。アクションシーンは超こまぎれでなにがどうなってるのかわからない。なにかというとフラッシュバックを死ぬほど多用してうざい。しかもそこで使われる映像素材がめちゃめちゃ観念的な上に毎回同じで使いまわしのしすぎ。集中線は笑っちゃうからやめてくれ。
あと、おっさんがあうあう言ってるシーンが多くて不快感を煽りすぎ。いや女性陣もほけらーっとしてるかあうあう言ってるかが大半なのだが。

しかも多くの重要なシーンが尻切れトンボで何を言いたいのかわからない。特にラストシーンなんかは意味不明の極地といっていい。お芸術映画じゃなくてエンターテイメントなんだからそのへんわかりやすくしようよ。ただし軍隊イクナイ(「殺すのイクナイ」ではない!)というのは例外でここだけ妙にわかりやすいので、本筋からは余り重要ではないと思われるその部分だけ妙に強調されてどっちが本筋なんだか。

▼まとめ
この調子で2時間はつらかった。眠いよ。カットする前は4時間とか言うからそれはどうかと思った。そんでこれ以上ひどいデビルマンってどんなのだ。
正直2時間かけて見る価値はないです。「キャシャーン」というタイトルバリューの無駄遣いでもあるし、おすすめ度1。

▼ていうか
あの世界に「キャシャーンという救世主がかつていた」「どう見ても『(アニメの)アンドロ軍団』のロボットと城が存在する」という点から考えると、ひょっとするとTVアニメのほうのキャシャーンの500年後の世界とかかもしれないね。アンドロ軍団との戦いの反省からロボット技術を封印した世界とかそういうアレ。つまりあの城は(アニメの)東博士が作ったもので全部(アニメの)東博士の仕込みとかそういう。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

06. Mar. 2006 (Mon)

ウォークザライン[★★★☆☆]

のび太の恐竜2006」を見に行きたいなあ見たいなあと言っていた俺ですが妊婦に押し切られる形でウォーク・ザ・ラインを見に行ったのでありました。主演:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン。ジェームズ・マンゴールド監督、2006

ハナふれこみによると「ウェルメイドなすれ違いラブコメ」だそうですよ…っておいおい。

まあネタバレする方向で。

▼概要
プレスリーと同世代の伝説のロカビリースター、ジョニーキャッシュ(実在)。不器用ながらも激しい情熱を抱えた彼は、身辺の確執とトラウマを抱え、這い上がるようにしてスターダムにのし上がる。そこにいたのは憧れのベテランシンガー、ジューン・カーター。急接近する二人だが冷静に考えるとどちらも結婚してて子持ちなのであった。こりゃいかん。
しかもジョニーは麻薬にその精神を蝕まれつつあるのだった。ますますいかん。
おまけに長続きしない結婚を繰り返したジューンはもう結婚なんて真っ平ごめんって心境なのであった。いかんすぎる。

激しい紆余曲折、そしてどん底から奇跡の復活を遂げるジョニー。10年越しのあまりに不器用で一途な恋は実を結ぶのか?

▼誉
いい感じにアクの強いホアキンのジョニー像や、高度に自制された女性の絶妙な不満顔をみせてくれるリースのジューン、ロバート・パトリックの図星をつく親父など、人物描写のこってりした演技が光ります。
ステージのシーンも役者が自分でちゃんと歌ってますしサマになってるではないですか。
また張った伏線はいちいち回収したり反復描写をかっちり作りこんだりするなどなるほどこれはウェルメイド。

▼貶
これラブコメちがうよ!だって不倫だし(すくなくとも序盤は)!ヤク中だし!PG12だもの!
ていうかごめんジョニーキャッシュ知らないんで世代的に。あっちの脇役の音楽の方が俺いいかもとか思ってしまったりとかー。

▼まとめ
作劇的な組み立てはたしかに優れているものの、デートムービーにするには波風が立ちすぎる。どういう層におすすめすればいいのだこれは。というわけでおすすめ度3。

Posted by AoVA at 01:29 | ⇔ 0 | # 0

15. Feb. 2006 (Wed)

ミュンヘン[★★★☆☆]

現代映画界における最大の技巧と最高の表現力を駆使して崇高なオブラートに包んだ嫌がらせを提供し続けるスピルバーグの話題作。ミュンヘンを見てきましたよ。一応事件そのものは実話ベースってことになってます。

以下ネタバレ

▼概要
1972年のミュンヘン・オリンピック。もちろんパレスチナとイスラエルは深刻な対立をみせており、。パレスチナ過激派はイスラエルの選手団を人質に政治声明を発表。ドイツ警察の不手際、イスラエルの強硬姿勢、イタリア選手団の余計なお世話などがもたらした不幸な結末。いわゆるミュンヘン・オリンピック事件が発生した。

本気で怒ったイスラエル政府はパレスチナ要人の暗殺指令を1人の凡庸なイスラエル人、アヴナーに命じた。『国』と『家族』を天秤にかけ、危険で困難な任務へと踏み込むアヴナー。素人所帯ながらもチームを従え、順調に1人、1人と任務を遂行していく。

だが、彼は気付いてしまった。猟犬もまたなにものかの獲物であることに。

▼誉
スピーディーで有無を言わせぬ導入や効果的なフラッシュバック。陰鬱な光線設計など、スピルバーグならではの玄人テクニックが光ります。最高にこじれきったパレスチナ問題をテーマにして、多少なりとも両者の言い分を絵に出そうという意欲的なスタンスも認めるべきでしょう。
電話のシーンのハラハラ感なんかはさすがの構成といえますな。
すわ銃撃戦という段になって双方機関銃をがちゃがちゃやりはじめる素人臭さがまたいいですね。

▼貶
あんまり後味の良くない映画です。何しろこじれきった政治問題はちっとも解決しない(それどころか悪化する)し、修羅の道の先にハッピーエンドってわけにもいかないし、主人公サイドの倫理基準なんて平和な現代日本人から見れば狂気でしかないし。両方の言い分を描くといっても、あくまでも主人公視点だから、「苦悩する正義の俺たち」とぶっちゃけ同類のはずのPLOがなんだか狂信者にしか見えないし。
おまけに随所でスピルバーグ得意の嫌がらせっぽい組み立てが点滅してるし。あのベッドシーンなんかはどういう嫌がらせなんだ一体。

▼まとめ
アラブとイスラエル、どちらもやってることは大差ないのに我々は一方の視点に肩入れしてしまう。そんなこの映画の描写は、この気違いじみた戦いの中での『正義』の確からしさに疑問を抱かせるに充分だ。となれば、我々の信じる「テロ」と「自由」との戦いの関係、その確からしさにもまた還元できるのではないか。とかなんとか、そういった疑念というか不安を感じずにはおれないあたりがこの映画最大の嫌がらせかもしれない。だからこそのニューヨークなわけで。

スパイアクションものから爽快感を大幅に削って、その分陰謀どろどろ固めで登場人物を追い込む構成となります。そんなわけでエンターテイメントとしてはちと落ちる。テーマが複雑な政治問題の割りにそつなくこなしたという意味では加点できますが、そういうのは基本的に後味が悪いわけで。
しかし、話題性はありますし映画としての品質は高いのでちと加点してもいいか。そんなわけでおすすめ度は3。

しかしなんで映画のスパイのひとたちはヤバイとわかってるのに変装とかしませんかね。

追記。シトロエンの高級車はおしりがセクシーだ

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

18. Jan. 2006 (Wed)

リベリオンの監督の次回作

またガンカタっぽい何からしい
リベリオンはアクションの奇抜さでずいぶん注目されたけど、あの描写の繊細さがまた魅力だったわけで。そっち方面にも期待ですよ。

しかし変な武器だねこれ。

Posted by AoVA at 09:00 | ⇔ 0 | # 0

27. Nov. 2005 (Sun)

飛べ!フェニックス[★★★★★]

飛べ!フェニックスを見ましたよ。ロバート・アルドリッチ監督の超絶クイックハックなオヤジギラテカ系サバイバル映画。おすすめ度5

▼概要
砂漠のド真ん中に絶賛墜落。なにしろ航路は外れてるわ無線は使えないわで困ったね。絶望的な状況下、生存者たちは自力での脱出を決意する。

この脱出方法ってのがもうこれ以上ないってぐらいのクイックハックなんですよ。ある意味ハッカー必見といえなくもないような。

以下ネタバレですよ。

砂漠のど真ん中に不時着した双発プロペラ機。限られた水で生存は絶望的。そんなわけで生存者のひとり、「航空機設計技師」が「ニコイチして単発機作って飛ばそうぜ」とか言い出すわけですよ。
普通に考えるとそんな無茶な、って感じですが、この時代のプロペラ機なら今より手作り感が溢れてるのでなんか出来なくもないような気がしてしまうのがステキです。

▼誉
シビアな状況下で妙なヒューマニズムを発揮して、事態を悪化させる米国人パイロットに対して、その無駄な行動をズバッと切り捨ててしまうドイツ人技師の冷酷な発言がいいですな。
とにかく計算があってりゃいけるんだよ的な、理論至上主義めいた主張がなんとも格好いい。
冷却液を蒸留して水を作ってみたりする細かいディティールなんかも嬉しいね。

そしておっさん一同がそれぞれのスタンスを発揮してギラギラしてるのがまたいいです。

▼貶
いやまあ、冷静に考えると砂漠の100人日では無理のある作業だし。飛行機そんなに簡単に飛ばねぇよ。特に前後の重心どうやって取ってるんだ的な無理やり感はなくもない。

まあツッコミどころはそれなりにあるわけだけど。気にしたらたぶん負け。

▼まとめ
無理矢理なアイデアを、すんげえハックという見せ方をすることでそれっぽく仕立て、人間ドラマの暑苦しいパワーでそのまま見せてしまううまさはたいしたものです。
まあ航空機じゃなくて無線機の専門家ならもっと楽だったかもしれませんが。なかなか楽しめましたのでおすすめ度は5で。

あ、リメイク版は見てません。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

19. Sep. 2005 (Mon)

チャーリーとチョコレート工場[★★★★★]

チャーリーとチョコレート工場を見てきました。ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」の映画化です。ティム・バートン監督、ジョニー・デップ、2005年。[ASIN: B00067HDXE]

バートンならではのやさしさと嫌がらせに満ちた、夢とトラウマの多重梱包映画。おすすめ度5。
以下ネタバレ。

▼概要
マイコーじゃなかったウィリー・ウォンカは世捨て人の天才菓子職人。世界最大のチョコレート工場で世界中にむけてチョコを生産している。たった一人で?

謎に満ちたチョコレート工場だが、幸運な5人の子供にそのすべてを見学するチャンスが与えられる。ウォンカの板チョコに隠された金色のチケットを探せ!

ってんで5人の子供が選抜され、しかるのち選別されるお話なのがこの時点でわかりますね。主人公チャーリーが金のチケットを手に入れるのも明らかだし、チャーリー以外がろくでもない目に遭うことももはや既定事項といえます。そこに至る過程をいかに面白くかつひねくれて見せられるかが腕の見せ所。

まあオープニングのチョコレート製造過程に気球が出てくるあたりに代表されるように「コレは普通じゃない」とかそういうメッセージをちゃんと出してから普通じゃない展開になだれこんだりしてくれるので親切設計。

▼誉
やはり楽しいながらもどこか軸が歪んでいて、絶妙なお約束の外し方。実際やってることは子供達への虐待なんだけど笑って済ませるバランス感覚。そうかと思えば果てしなくバカバカしい絵面を大真面目に見せたり、その逆に真面目な映像で遊んでみたり。

ディープ・ロイ演ずる歌って踊れるウンパ・ルンパがまたすごい。非現実性をこれでもかと強調しつつ、念入りに作りこまれた撮影で存在感がありあり。

そんでリスですよリス。本物リス100匹をつれてきて1年間訓練した結果、リスがほんとに演技してるわけでこれはすごいです。すげえやリス。

▼貶
それは必要な事なのかもしれないけれど、4人の子供のキャラクター付けが強すぎてちょっとしんどいかも。あと、なんでそんなに人々がチョコレート工場に見学に行きたいのかがいまひとつピンとこない。そりゃ中はすごかったけどそのことは誰も知らないわけで。

▼まとめ
万人におすすめできる娯楽作。シュールなのに殺伐としてないのがいいですね。おすすめ度は5です。

Posted by AoVA at 22:00 | ⇔ 0 | # 0

18. Sep. 2005 (Sun)

銀河ヒッチハイクガイド[★★★☆☆]

銀河ヒッチハイクガイドを見てきました。全国で9館ってのはちと少なすぎませんか。

さて、「共通言語」としてのカルトSFの極北である「銀河ヒッチハイクガイド」がついに映画化というわけでこれは見るでしょう。しかも脚本は原作者であるダグラス・アダムズですよ。

ちなみにパンフレットはごらんのとおり。「DON'T PANIC(あわてるな)」とちゃんと書いてあるあたりステキ。

おすすめ度3。以下ネタバレ。

▼概要
唐突に地球は破壊され、凡庸な地球人アーサー・デントは友人のヘンリー・フォードと共に銀河放浪の旅に出ることに。それは生命と宇宙とすべての謎にまつわる驚異の冒険行。右手には銀河最大のベストセラー「銀河ヒッチハイクガイド」を、左手にはタオルを忘れるな!

というわけでいきあたりばったりナンセンスにして妙に哲学的にはぐらかされる謎コメディ映画だと思って頂きたい。

▼誉
余計な小ネタが溢れんばかりの物語なのでナレーションを多用したのは正解といえます。
原作ゆずりのトンデモな展開が嬉しい。
また脚本の段階で複雑なプロットは大幅に整理され、非常に親しみやすくなっている。

映像的にも「B級SF映画」にしては妙に小奇麗で、スラーティバードファーストの工房なんかはその広さをがようやく理解できたし、そこでの生産工程も見て素直に面白い。
「ガイド」のイメージもすっきり処理されて楽しく、これは一冊ほしくなるですね。

そしてなんといっても「地球で二番目に知能の高い生物」がすばらしく映えている。がんばりすぎ。

▼貶
プロットがわかりやすくなったのはいいんだけど、その結果、予想もしない伏線が突如回収されるという不安定さゆえの驚きが減ったように思えるのは残念。

また旧版の読者としては、ところどころ字幕がしっくりこなかったのが残念。うがい薬バクダンは「全銀河」じゃなくて「汎銀河」じゃないのかよみたいな。ヴォゴン人の必殺のアレも単に不愉快なソレでしかない気がするがもっと「おお、へけもこの豚虫よ」「我をくみくみそげもけん」みたいな不可解さがほしかった、

そして全体的にユルい。映像密度というか、ディティールの切迫感がもうひとつ。見てるほうがおっつかないぐらいの詰め込みっぷりはやはり難しいのだろうかなあ。

▼まとめ
全体的に原作に忠実に映画化、ただしファミリー向けにいくらかあかぬけて、ついでにラブロマンス的にまとめてしまうあたり妙に手堅い。しかしその手堅さもよしあしで、もっとB級的なハチャメチャさがほしかったりしてこれがなかなか難しい。というわけでおすすめ度3。テレビの深夜放送に最適といえましょう。

また映画にあわせて原作本の新装版が出たのでこの機会に是非どうぞ。翻訳は前五部作のうち旧版が三部まで、新版が第二部「宇宙の果てのレストラン」までしか出てないのがちと残念ですが。あ、映画の内容は基本的に第一部だけです。

それでは So long, Thanks for all the fish!!(さようなら、魚をありがとう)

Posted by AoVA at 22:00 | ⇔ 0 | # 0

06. Aug. 2005 (Sat)

宇宙戦争(★★★★☆)

結局二度目の宇宙戦争を見てきました。おすすめ度4。スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、2005年。[ASIN: B000BC8IYW]

ウェルズ原作に則して描かれた圧倒的宇宙兵器による人類もう駄目だ状態。地球が地球が大ピンチ。助けてEDF本部!

オチは皆さんご存知の通りですが一応ネタバレなので…。

▼概要
しがない港湾労働者のトムのところには週末だけ別れた妻が息子と娘を連れてきます。そのまま妻は現夫と実家のボストンへ。子供達とのコミュニケーションが絶望的な状態にある冴えないトムのだらけきった週末。

そこにこの世の終わりって感じのすんごい稲光が落ちたかと思うと、地面の中から宇宙人のでっかい戦闘破壊マシーン「トライポッド」があらわれて、ビルは砕くわ車は吹っ飛ばすわ動くモノは消し炭にするわでいよいよ本格的にこの世の終わりです。とりあえず子供をつれてダッシュで逃げるトムですが、全地球的にもう駄目状態なのに、彼等は果たして生き残れるのでしょうか?

▼誉
てなかんじでかなり強くてでかくて怖すぎるトライポッドがわしゃわしゃやってきて、ビルも町も高速道路も粉々の破壊の限りを尽くしたり、人間をびしびしつまみあげてはギョーンギョーンとうなったりですばらしい悪メカっぷりです。このトライポッドがもたらす、恐怖と絶望の波状攻撃は特に作品前半に集中しており、それだけで見る価値があるといえます。

破壊と殺戮の描写もすさまじく、CGとはいえでかい建造物がもうもうと煙を立てて崩れる様は大迫力ですし、そうかと思えば死体や死体を連想させるものが淡々と画面を埋め尽くしてみせたりと緩急極まって絶望感が襲います。

また縦横無尽のカメラワークにも注目です。特に車で逃走するシーン、車内での口論と走る車を左右から撮ったショット、後部座席のショット、そして後方から俯瞰して大きく引いたショット。これがぜんぶワンカットに入ってる(しかも全部人間が動いてる)ってのはいったいどうやって撮ったのやらさっぱりわからんぞ。

また、トライポッドが実は「巨大人型兵器」である衝撃の事実が明らかになるシーンがあるのですがそこにいたる一連の流れもスリリングで楽しいね。

▼貶
さて、まるっきり歯が立たない相手に蹂躙されまくる人類ですが、政府や組織が役に立たない上に宇宙人とも完全に没交渉なので、自然とドラマは人間模様へと移ります。トムはトムなりにおめめきらきらさせたりして家族と生き残るためがんばってはみるのですが、いかんせん人類の無力感を一身に背負った男の役なのでいまいち冴えません。ダコタたんに頼られつつの逃避行でなければ早い時期におっ死んでいたやもしれん。

どのぐらい冴えないかというと、トムはダコたんを守るために普通はできないような頑張りをみせたりするのだけれどそれが全く省みられない。めっちゃ頑張って何か成果を出した次の瞬間それがチャラになること多数。何のためにやったんだっけ?ってな具合のなさけなさ。最終的な立ち位置にそれが端的に現れてるですね。

この「無理目に頑張って結構うまくいくんだけど直後チャラに」というむなしさこそがこの映画全体のテーマかもしれないね。それはそれでドラマとしてはアリなのだけど、後味はあんまりよくないのでおもしろおかしい度の向上という観点ではいまひとつ。

そして宇宙人も原作どおり例の理由によって以下略なのであるけれど、それならそれでぐるぐるまわってぽん、で終わりでいいはずなのになぜか軍隊に見せ場があったりする辺り蛇足感。

このお話でちょくちょくおいしいところを持っていくのが清く正しい軍人さんなあたり、なんか微妙な政治的意図でもあるのかと勘繰りたくもなったり。オチがわびさびならそれに徹してほしいところです。

▼まとめ
破壊と殺戮のスペクタクルムービーとしての前半は完璧です。もう大画面で音響のいいところでなら何度見ても楽しめるでしょう。中盤から後半でカラーが変わり、ここは好き嫌いが別れそう。そんなわけでおすすめ度4。とはいえ前半のためだけにでも映画館でどうぞ。

さて、EDF隊員としてテトラポッドと戦うか…

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

18. Jul. 2005 (Mon)

山の音[★★★★☆]

池袋では成瀬巳喜男 の『山の音』を上映していたので結局見に行く事に。ていうかもう一本見ようと思っていたのだが、行ったら満席だった。川端康成原作。成瀬巳喜男監督。原節子、山村聡、上原謙。1954年。

上映前に「この映画を見て女心を学習せよ」というミッションを受けていたのだが、はたしてどうなることか。

▼概要
戦後の鎌倉で二世帯同居生活する一家。息子の嫁(原節子)は明るくかいがいしいが、息子は不満らしく外に愛人を作っている。見かねた父(山村聡)は嫁をねぎらうものの、それが事態を複雑にしてゆくのだった。

成瀬得意の上品で高品質なメロドラマ。

▼誉
とにかく成瀬の映画は説明が少ない。説明台詞はほぼ皆無だし、伏線や暗示すらもその存在が強調描写されたりはしないので、うっかり見落としがちだが、後から考えると思い当たるものが多数。演出の妙ですな。

セリフが少ないおかげで役者の存在感も際立つ。原節子の微妙な色っぽさとか、山村聡の困り加減とかがすてきです。

▼貶
困った事に女心の微妙さが理解できないワタクシはところどころ置いてけぼり。山村聡が事態の解決のためちょくちょく何か余計な事を言うのだが、見てるワタクシとしては、その発言はまあ無難だけど妥当だよねとか思うわけだ。ところが次の瞬間「お父さんは女心がわかってらっしゃらない」と言われるわけだ。作中で。これが一度や二度じゃない。

いやほんとはこれは貶す項目じゃなくて、それだけ成瀬が女心を理解してるらしいってことなんだけど。俺おいてけぼり。

▼まとめ
女心がわからずやきもきする俺としては山村聡に超シンクロ。映画としても普通に面白い。ニュープリントで綺麗だしね。というわけでおすすめ度は4にしておこう。結局女心はわからなかったというか、仮にわかったとして解決策がないということがわかったというか。

ハナは東宝がケチなのでDVD化されないと不平顔だったが、成瀬巳喜男の生誕100周年ということでDVD BOXが出るようだ(part1,part2)。また箱が増えるのか…?

Posted by AoVA at 22:51 | ⇔ 0 | # 0

20. May. 2005 (Fri)

バタフライ・エフェクト[★★★★☆]

バタフライ・エフェクトを見てきました。エリック・ブレスとJ.マッキ―・グラバーコンビ監督で主演はアシュトン・カッチャー。2005年。[ASIN: B000AM6R00]

どうでもいいけど宣伝の「マトリックスを超えるオリジナリティ」ってのは誉め言葉じゃないと思います。ま、それはともかく。
カオス理論における「バタフライ・エフェクト」は複雑系においてミクロな初期状態の違いが次第に拡大し、マクロな系全体に影響を及ぼすという現象を示したものだ。
これをわかりやすーく映画にするとなると、ピタゴラスイッチみたいな面白連鎖反応話にするしかないのかもとか思ったりもするのだが、わかりやすい範囲にとどめつつそこそこ納得のいく筋立てとして成立させているのはえらいなあ。おすすめ度は4。

ひょっとしたら脚本家はジュラシックパークにおける「カオス理論の専門家」のいい加減な解説を見て「それってカオスじゃなくてマーフィーの法則なんじゃ…」と突っ込んだクチかもしれん。

さて、ネタバレ風味なので詳しくは追記部分で。

▼概要
数分間の記憶を失うという謎の症状を経験した少年は日々の出来事を日記に綴る。抜け落ちる重要な局面での記憶。彼の人生に何が起こったのか?何が間違っていたのか?一度間違ってしまったらそれまでなのか?
過去と行動の因果関係が織り成す記憶の上書きの物語。

▼誉
結構お気楽に見えて、後述の考察のように結構理詰めできちんと考えてある。ストーリーの流れにも大きな不備はなく、ひっかかりは少ないです。
事態の変遷が明確に目に見えるように、キャラクターはかなり極端な性格付けがされておりわかりやすく親切です。
そんでPG-12らしくいやーんな事象がいやーんなタイミングで描写されたりするのもいいですね。

▼貶
バタフライ・エフェクトといいつつも、操作に帰趨する因果関係はあきれるほど明白で、大きな影響が認められるのはせいぜい身の回りの人たちだけ。題名から期待されるような、取るに足らない違いが巻き起こす劇的な世界規模の影響なんかを取り込む余地がなかったのが残念なところ。
一種のセカイ系なのだろうか。

▼まとめ
意外によく考えて組み立てられたシナリオとスムーズな話運び。PG-12らしい適度ないやーん感ではなかろうか。そんなこんなでお勧め度4。

しかしあれだね。女は化粧とライトで化けるね。怖いぐらい。

▼考察
完全にネタバレなので反転させときますよ
まあぶっちゃけ、タイムトラベルものの一種ですな。この手の話ではいかに高度につじつまを合わせるかが脚本家の腕の見せ所。というわけでそのへん考察してみよう。

誰かが言ってた「人生やりなお師映画」って表現はいかにも的確です。選択肢式のストーリー重視アドベンチャーゲームからの影響を強く受けているのではないかと思われます。アメリカで日本のようなビジュアルノベル(ギャルゲーとか)が発達進化しているのかはよく知りませんが、テキスト主体のノベルゲーム様のものが大流行と15年前の雑誌に載ってました。って今はどうなんだろ。

さて、本作品において「日記のセーブポイント」は以下の6つ。

  1. (1)絵
  2. (2)台所
  3. (3)撮影
  4. (4)父
  5. (5)ポスト
  6. (6)犬

人生の流れは素の状態Aから、以下のように変遷する(4の位置はここじゃなかったかも)
A→(6)→A→(5)→A'→(3)→B→(1)→B'→(6')→C→(5')→D→(4)→(2)→(3')→E→
見てわかるように、『同じセーブポイントを複数回ロードする』ことが可能らしい。

さて、ここで注目したいのは、それぞれの段階で「どのセーブポイントを選択したか」という点。

A'で(3)を選択したのは直前にそれを話題にしていたからでもあり、それが理由で発生した事態を回収するためである。

おそらく、Bでも(3)を選択したかったのではないだろうか。事情が明らかな分、どうせなら同じ場所をやりなおしたほうが予測がつけやすいし、当座の目的にも合致している。しかし、Bでは(3)の部分が入手できなかった。(6')を選んだのは状況的に選択肢がなかったからだろう。

Cで(5')を選んだのは、ヒロインの示唆によるものだ。まあ大きな懸念だし、(5')の選択によって(6')での選択そのものの消失が期待できる。

Dで(5)がもういちど利用できれば、ベストな選択が出来たのかもしれない。しかしここでは(4)以前を選ばざるを得なかった。(5')の結果によって(5)(6)のセーブが不可能になったからである。結局効果的な選択は(3')しかなかった。
まあ、Dの風呂場でそのままエンディングというのもそれはそれで美しいかもなとか思ったり。伏線回収してないからそれはないんだけど。

しかし、(3')の選択の結果、(3')以降のセーブポイントがすべて失われることになった。状況的に日記なんか書いてる場合じゃなくなったってことであるな。(1)(2)もその影響で廃棄されてしまったのだろう。

こうしてみると、適当に選ばれているかとも思えるセーブポイントは、その状況と事情によって明確に利用が制限されており、事実上他に選択肢は無かったことがわかる。セーブポイントの消失や、自分が死んでしまったかもしれない展開というのは当然予想できるわけで、それに対して配慮がないようにも見える展開だがやむをえないというところだろうか。

おそらく父も、事態を悪化させた挙句にセーブポイントを失ってしまったのだろう(医師の写真の話)。そういえば主人公の寿命はどうなったんだろ

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

24. Apr. 2005 (Sun)

鴛鴦歌合戦[★★★★★]

久々の映画レビューは鴛鴦歌合戦(マキノ雅弘監督 1939)です。

1939年といえば第二次世界大戦勃発の年で日本もいちおう戦時下です。戦時体制の締め付けもじわじわと強化されつつあったはずですが、なぜかこんなおもしろ映画が。

▼概要
骨董マニアの峰沢丹波守(ディック・ミネ)が骨董マニアの傘職人志村狂斎(志村喬)の娘お春(市川春代)にちょっかいを。一方お春はハンサム浪人浅井礼三郎(片岡千恵蔵)を挟んで富豪の娘おとみ(服部富子)らと多角関係。もう配役のネーミングからしてやっつけ仕事感に満ち溢れていますが、この呑気なドタバタ時代劇がわずか2週間で作成されたとなればむべなるかな。

ひたすら楽しい、ウキウキする和製オペレッタの元祖にして頂点です。

▼誉
日本のジャズ草分けの一人にして現代劇では素でギャングの親分をやってるようなディック・ミネが、バカ殿に扮して町を闊歩し「僕はオシャレなトノサマ〜♪」などと歌いまくってくれるのだから笑うでしょう普通。
一方、七人の侍で神妙な顔して侍やってた志村喬もダメ親父に扮して「こ〜れこれこれコノ茶碗、ちゃんちゃんチャワンと音も響く♪」などとわけのわからん歌を歌いまくってくれるわけでもう助けて。
楽曲におとらずやたらめったらテンポのいい話運びに、突き抜けた能天気なストーリー。いかん、楽しすぎる。

▼貶
今回の映像ソースは所蔵のLDですが、さすがに画質・音質はちょっとしんどいね。
リマスターしてくれないかなあ。

▼まとめ
優れた技を持つ映画職人達がほとんど勢いだけで作ってしまった作品なので、わけのわからんエネルギーに満ちています。おそらく当人達にも同じようなものはもう作れないでしょう。邦画史上最強のイチオシといえます。同じくおすすめの丹下作善余話百万両の壷はついにDVD化されたのでありますが、こいつは替え歌が結構混じっているせいなのかDVD化の話がとんと出てまいりません。必見なのに超絶版。おすすめ度は躊躇なく5。いやもうほんと機会があれば見てください。

▼余談
毎回LDを引っ張り出して来るのがめんどくさくてたまらん。

というわけでAX300に繋いでDVDに落としてみた。これで気楽に見られるよ。

Posted by AoVA at 22:00 | ⇔ 0 | # 0

21. Feb. 2005 (Mon)

訃報:岡本喜八

映画監督岡本喜八の訃報が舞い込んできました。

世界への関心と、観客を楽しませようというサービス精神を併せ持つ優れた映画監督でありました。
代表作は「独立愚連隊」や「肉弾」「大誘拐」など。
特に「ジャズ大名」は20回近く(ビデオで)見ています。そして毎回最高に楽しい。邦画マイベストです。

…週末にでも、もう一回見ようとおもう。

Posted by AoVA at 20:37 | ⇔ 0 | # 0

14. Feb. 2005 (Mon)

バルカン超特急[★★★☆☆]

今月はまだ映画館に行ってないのだけれどもビデオはそれなりに見てたりする。BSでやってたのを撮り貯めたやつね。ダンディー少佐とか。

というわけで今回はバルカン超特急。特急密室ミステリーの原点。
アルフレド・ヒチコック監督。1938年。[ASIN: B0000A02FC]

▼概要
欧州の鉄道。密室ともいえるその車内で、突如として行方不明者が発生。しかしあらゆる証言と物証が、「そんな人物は最初から居なかった」ことを示している。これは陰謀なのか精神疾患なのか?

▼誉
周辺人物それぞれの思惑によって事態が強化される展開など、ミステリーとして高ポイント。瞬間的に現れては消える新たな物証や、うさんくさい人物配置などの演出が冴える。

▼貶
おそらく商業上の要請から挿入されたのではないかと思われるアクションシーンの粗雑さが不満。とはいえ当時の映画としてはまあ普通なのかもだが。

▼まとめ
基本を押さえた良質ミステリー。とはいえ既に古典の領域にあり、ちょっと物足りなさを感じるところでもあるな。てなわけでおすすめ度は3。特急密室ミステリーの類を借りるときにはぜひご一緒に。

Posted by AoVA at 12:30 | ⇔ 0 | # 0

24. Jan. 2005 (Mon)

斧頭会あらわる

功夫(カンフー・ハッスル)で皆さんご存知斧頭会。
あれの模倣犯が台湾に続々出現してるとかなんとか。

てっきり床屋に乗り込んで小銭をせしめたりするのかと思いました。あと花火上げたりとか。

Posted by AoVA at 23:55 | ⇔ 0 | # 0

13. Jan. 2005 (Thu)

ターミナル[★★★★☆]

ターミナルを見てまいりました。トム ハンクス主演。スピルバーグ監督。2004年[ASIN: B0002U8NPM]

国内宣伝では「待ち続ける男の純愛ラブロマンス」てな具合ですがこれはどうみてもコメディです。まあラヴもありますが、そっちだけを期待して見に行くと後味悪くなっちゃうぞ。まあ純愛を期待して『マイボディーガード』見に行くのと違って破滅的とまではいきませんが。

むしろおもしろ映画を期待して見に行くのが吉。

例によってネタバレなので詳細は追記部分に。

▼概要
東欧クラコウジア(ウクライナあたりのイメージ?)からニューヨークのJFK巨大空港にやってきたトムハンクス。ところがクーデターで母国消滅。入国も帰国もできないよ困ったね。
しかたがないので空港に住み着いて内戦が終わるのを待つことにしました。サバイバルあり、人情あり、ラヴありのドキドキ空港ライフのスタートです。

▼誉
なるほどアメリカの空港ならそういうこともあるやもしれんと思わせるあたりが面白い。成田では難しいなあ。ていうか事情は違うが仏SDGにそういう人が実在するらしい。
映画のために作られた巨大空港セットに山ほどいるエキストラで豪華豪華。そんでトム・ハンクスの四角い顔とカタコト演技が、主人公の朴訥な印象をうまく出しているね。
そんで主人公が饒舌になりえないので、動きの面白さを前面に出したコントが多数収録。まるでサイレントコメディです。特にカメラがパンすると無言で変なことやってる人がいるあたり最高ですね。

▼貶
悪役を割り振られた空港警備主任のスタンリー・トゥッチがいろいろ不都合のしわ寄せを受けています。
来るはずの通訳が来ないとか、全部の監視スクリーンを同じカメラに合わせてるとか、通常業務そっちのけだったりとか。すぐキレたりとか。
あと金色に光るアレはもっとぶわーっと出して見せるべきだと思うんですがどうでしょう。

▼まとめ
おもしろ人情コメディということで評価は高いですが終盤が力まかせなのやら後味やら加味しておすすめ度は4。平和と繁栄を。

▼余談
ハンガリー動乱という事件がございました。
1956年、東欧ハンガリーで民主革命っぽいものが発生したのですが、むかついたソ連が侵攻、軍事制圧の後(ベルリンの壁に象徴される)東側へ囲い込まれたのでありました。もうかれこれ50年前のことですなあ。

Posted by AoVA at 11:57 | ⇔ 0 | # 0

09. Jan. 2005 (Sun)

ハウルの動く城(ハナのレポート)

去年の末に見てきたハウルの動く城ですが、ハナのハウルレポートが公開されたのでリンク。気合入れて書いてますよ。
ネタバレなんでそこんとこは注意。

Posted by AoVA at 10:18 | ⇔ 0 | # 0

07. Jan. 2005 (Fri)

映画の著作権

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が無料(かつ合法)で公開されているようです。こいつは1968年ものなんですが、クレジットを入れ忘れたとかなんとか。

さて、ミッキーマウスの延命措置にあわせて日本でも映画の著作権は公表後70年に延長されております

映画の歴史は音楽や文学と比べて圧倒的に浅いので、1935年より前の映画となると。太平洋戦争ちょっと前、トーキー化直後ぐらいまでしか含まれません。逆に言うとサイレントならそのほとんどが既にフリーになってるんじゃないかと思われるのだがどうなんだろ。映画自体はフリーでも、後付けのサウンドトラック(BGMとか)で延命したりしてるのかしらん

Posted by AoVA at 18:00 | ⇔ 0 | # 0

31. Dec. 2004 (Fri)

功夫(カンフーハッスル) [★★★★☆]

お正月映画「功夫」を見てきました。周星馳最新作ですよ。
邦題は「カンフー・ハッスル」ですが、この間抜けな邦題のせいで東京国際映画祭では小川直也が乱入して難癖つけるという超寒い演出がなされ、香港では「東京受辱事件」としてそいつが報道されて国際感情を微妙に悪化させるなどイイトコなし。あの演出考えた奴は今からでも遅くないから腹を切れ。

あとこれは少林サッカーとは全く関係ない話なのでそっちを期待しないように。
近所の映画館では吹き替え版のみ上映でした。吹き替え自体の品質は悪くはないのですがやっぱり字幕で見たいです。[ASIN: B0001M3XGK]

まだ公開してないところもあるのでちょっとだけ。

▼概要


功夫の達人が次々出てきて超絶の技をばんばか放つ盛りだくさん功夫映画。ねこまっぷたつ。

▼誉


細かいギャグや次々出てきて飽きさせない功夫達人技の数々の品質は高く、それぞれ充分楽しめます。
特に包丁のシーンなんかは最高。
アクション一辺倒になる終盤はともかく、それより前の物語運びは文句なし。

▼貶


作中ストレスがちゃんと解決されていないのはまずいよね。ラストバトルで消化すべきテーマが回収しきれなかった感があります。
ていうか「功夫」なのに頭ぶつけて以下略ってのはどうよ。君は間違って無かったよ、というお話をするはずなのに、それをすっとばしてアクションで片付けてしまう。それが歯がゆい。

▼まとめ


功夫映画製作上のさまざまな問題点がここに収束してしまった感があります。周星馳監督主演なのに周星馳の扱いに困るとはこれいかに。
とはいえ映像的には非常に楽しいし、功夫技映像もちゃんと身体を動かせる人がベースなのでCGくにゃくにゃカンフーにありがちな単調さやうっとおしさはありません。おすすめ度は4。映画館でどうぞ。

Posted by AoVA at 17:38 | ⇔ 0 | # 0

24. Dec. 2004 (Fri)

Incredibles (ミスターインクレディブル) [★★★★☆]

Mr.インクレディブルを見てきました。万人にお勧めできるお正月映画です。[ASIN: B0002ID6QU]

あ、今度からお勧め度を★☆で併記することにしました。★が1点、☆が0点で5点満点です。

▼概要


超人たちがヒーロー活動を禁止され、一般市民として生きねばならない世相では、ヒーローとして名を馳せたMr.インクレディブルも会社で絞られるサラリーマン。家族一同スーパーパワーを持っていながらストレスをためる日々ですよ。
そんな具合で過去の栄光と現実のギャップに苦しむインクレディブル氏のもとに、極秘のヒーロー活動依頼が舞い込むのです。どうするどうなる家族の絆とあと社会生活。

▼誉


わかりやすい背景設定に、作中ストレス完全解決なストーリー。充分に回収される伏線と緩急ツボを抑えた演出。アクションも細かく気を使っており楽しいです。一家の行動原理も「敵」の動機も明らかで、素直に喝采できる展開といえます。
それに加えて家族愛あり、成長物語あり、ベタなギャグもあり。お正月映画のお手本みたいな一作です。

光線設計とか衣類や髪の動きにも気合が入ってますので注目。そっちだけで50人ぐらいスタッフいますね。

▼貶


CG人物アニメーションのアニメっぽい動きもなかなか安定してまいりました昨今ですが、好みの問題としてはちょっと白目がちで苦手感がなくもないです。デフォルメの文脈がちょっと違うので戸惑うというか。まあ気にしなければいい範囲ですが。

ところでアメリカのアニメ映画はショートコントを同時上映するのが慣例なのでしょうか。我々とあちらさんでのキャラクターデザインの「かわいい」と「キモイ」の分水嶺が、このバウンディンでははっきり出てるなあとか思ったり。あ、こちら動きはすばらしいですよ。ダボダボ感とか。

▼まとめ


高度に完成されたファミリー最適お正月映画。お勧め度4(映画館で見るなりビデオを借りるなり)。
なぜ5ではないかと言うと「わけわからんがとにかくスゴイ」とかそういう圧倒感がもっとあると嬉しいなあとか。贅沢ですかねえ。

余談。デザイナーのキャラクターがおいしすぎる。

Posted by AoVA at 18:00 | ⇔ 0 | # 0

20. Dec. 2004 (Mon)

ハウルの動く城 [★★☆☆☆]

週末にハウルの動く城を見てまいりました。宮崎アニメ2004年ですよ。[ASIN: B00009B8MC]

こりゃまた受け手によって評価の別れそうなおはなしです。乙女(適齢期以上)の夢がここに結実というかんじでコマッチャーなら一発ノックダウンされそうです。一方紳士諸君は微妙かも。見に行くときは化繊の衣類はやめといたほうがいいです。身をよじるとガサガサいいますからね。

ところでワタクシ細田守仕事には期待しておりますので。一方宮崎駿への期待値はラピュタをピークに下がる一方。大人の都合の監督交代劇にはがっくりした口ですよ、ええ。
さて、これが本作にどのように影響するのか。ややネタバレです。

▼概要


地上空母、じゃなかった「動く城」にお住まいのハウル君は大魔法使い(美形:キムタク声)。ヒロインのソフィーさんは地味な容姿に地味な生活。しかし諸般の事情で老女の姿となってしまったのです。しょーがないので「動く城」に転がり込んで、なぜかイケメンのハウル君とラブロマンスを演じます。

▼貶


先にけなしときます。あえて美術には苦言を述べよう。単にこっちの期待が上回ってしまったのかもしれないが、序盤の油絵めいた雲の描写にはがっかりだ。もっともこもこ感を。とか思ってると中盤の魔法ばりばりのところではそれなりにいい雲が出ていたので、新旧の手法でその価値が逆転しつつあるのやもしれません。草原で草花がなびくシーンもどうせなら遥か彼方までなびかせて欲しいところ。どうもコストダウン感がありますな。

ストーリーには期待してはいけない。世界背景はいいかげん。世間は戦争で戦禍に巻き込まれたりするんだけど、今攻めてきてるのがどっちの国かもよくわからん。ときおりの反戦発言は立場を考えれば失笑モノだし、まして最後の戦争に関するアレはなんですかいいかげんな。
ストーリー上制約とされていたいくつかの重要事項も「あ、これ例外だから」みたいな無いに等しい理由で次々無力化ないし解決され、いっそすがすがしいとさえ言えますな。

また、いくつかの重要っぽい描写が削除されているのもいちいち引っかかります。相手の「正体」が別の事前情報と合致することによる認識の変化とか、事態を悪化させた要因のひとつである「新店舗」への固執に至る過程とかそういうのがもうバッサリ。

というわけで観客は、飛躍した結果だけ次々見せ付けられるようなご都合感を抱えつつ身をよじる羽目になるわけですな。

▼誉


とはいえ、どうもそれとは全く違った見方をすることもできるようで。詳細はハナのレポートを待ちますが、自己実現を望む乙女のサクセスストーリーとしては完璧とも言える人物配置がなされているですよ。

主人公は日々の暮らしから抜け出すことも出来ず、希望もなく地味な人生を覚悟して生きる地味職労働者。
身近な人の派手な人生と比較して沈む一方。おまけに見た目は老女です。

そこへ金に不自由せず料理もできて強くて空も飛べる見た目派手なキムタクイケメンが現れます。しかも家つきです。これが見た目も気にせずヒロインにラブラブになるわけですよ。ラブラブ状態への強引な移行はほとんど萌えアニメの領域です。
しかも成功が約束された華やかな仕事まで斡旋してくれるので、「モテ欲」「お嫁さん欲」「キャリア欲」のすべてが同時に満たされます。

ここで何が完璧かちうと、偉大にして美麗なるハウル君はヒキーなんですね。いや、実際は違うのですが位置づけとしては似たようなモノです。そんでヒロインに依存せずにはおれないのです。完璧な環境をもたらしてくれる完璧な男に依存される、これ以上の乙女の夢がありましょうか。しかも延々依存してくるのではなく要所要所でちょっと相手をしたら元気一杯飛んでいきますからそれほどウザくもありません。

ほかの登場人物にも乙女をイイ気分にさせる要素が多分に配備されており、はっきりいってストーリーの流れの悪さとかどうでもよくなってきます。たぶん。

▼まとめ


おすすめ度は2(テレビ放映待ち)。ただし、自己実現らぶろーまんすをご所望のご婦人方限定で5(映画館へGo)を進呈。

しかし宮崎駿にいったい何があってこんな乙女最適化映画ができてしまったのだろう。ハウル君はかつてないほどの二枚目(あごがとがってる!顔が崩れない!)ですし、そもそもロリコン親父垂涎の対象となるべき少女がでてきません(ヒロインはちょっと違うし)。細田守の職人根性ではありえない超強引なストーリー進行でありながら、最適化された視点からはそのインパクトは期待以上のものがあります。というわけで、細田守作品でなかったことは残念ですが宮崎駿監督作品ということでこれはこれでよかったかな、とも思えます。
そういえばキムタク声は誉められたものじゃありませんが、役柄上黙認可能な範囲でした。それより子役ですよ注目。

余談。ベーコンうまそう。いいなあ(よだれ)。
余談2。ところで細田守バージョンの上映はいつですか?←ありません

Posted by AoVA at 20:30 | ⇔ 0 | # 0