細田守最新作、「時をかける少女」を見てきました。ていうか都内で単館しか上映してないってどういうこと!?
おかげで1時間前に映画館に着いたにもかかわらず立ち見とか言われて、結局3時間後の整理券を取得するに至ったのである。まあ土曜ということもあるかもしれないが。
さて、筒井康隆原作の本作は幾度も映像化されているのだが、結局のところ記憶に残っているのはやはり1983年、原田知世が主演の大林宣彦版。超わっかりやすくて死ぬほど歌いやすい主題歌もすばらしかったしなんといっても『原田知世はいい!』
…えー。こほん。
今回のアニメ化は原作や既存映画に囚われず大胆にシリーズ化しつつもその瑞々しさは損なわず、かつ極めて高品位に作りこまれたウェルメイドな大秀作として完成している。
真夏日のように青い空、はるかにそびえる入道雲。汗を撒き散らしながら全力疾走する涼やかなデザインのキャラクター。そこには熱さがありながら暑苦しさを感じさせない。
だから激暑い真夏日にこそこの映画はふさわしい。おすすめ度は文句なしに5。夏休みのうちに見るのだ。さあ。
ネタバレ対策として伏せる事にする。
▼概要
男友達二人とつるんで野球の真似事ばかりしている快活な少女、紺野真琴。だが放課後の化学準備室、彼女の運命はかわった。
タイムリープができるようになってしまったのである。くだらないことにこの稀有な機会を浪費する真琴だが、そのささいな判断の積み重ねが日常を混迷させていく。
▼誉
繰り返されるささいな日常、だがそれこそが判断の連続であり、未来は選ぶ事ができ、すべてが自分の選択によってもたらされる。世界のありかたは変わらない。だが少女が世界をどう認識するかが変わることはそれ以上の変化だと思わせる。実にこう、青春ドラマとして超直球なところがすばらしい。
また、細田作品ならではの緻密に組み立てられた画面構成や同アングルの反復による緩急のつけかた、驚かせ方など凝りに凝った演出が、本作のストーリー構造にがっちり適合していつにもまして魅力的。
そして何より、ヒロインである真琴の体当たり感がすばらしい。全力で走り、考える前に跳び、ゴロゴロと転がって頭を強打し、すっくと立ち上がってまた疾走する。全身から涙を振り絞って泣き、カラカラと笑う。キャラクターの魅力は本作の魅力の一端を担っているといえよう。
あとラベンダー。その立ち位置は上手いなあ。
▼貶
一箇所、一箇所だけ反則。なんかずるい理屈をこじつける事はできそうだけどっ。願わくば皆様がこの齟齬に気付きませんように。別に気付いても嬉しくないから。あと「タイムリープ」という概念そのものが(登場人物によって)誤解されている可能性が極めて高い。この点については後日考察したい。
▼まとめ
かつて「秘密のアッコちゃん」の細田解釈として『お人よしの馬鹿が人助けのために超常現象を起こしつつ空回りする』というのがあるとされていたわけだけど、中盤の真琴はまさしくそれそのもの。違うのはこの場合、目的が超常現象そのものによってもたらされた不幸をリカバリするためであり、そしてその努力が真琴本人の考え方にも少しづつ影響を及ぼしている事だ。真琴本人が抱えていた問題の解決は超常現象ではなく、それを通して得た本人の成長によってもたらされる。本作はロマンスであり、SFである。そして何よりも、成長物語なのであるな。すばらしいよ白細田。
ストレートな満足感が得られるよい映画であった。なんつうか若返っちゃうね。もちろんおすすめ度は5。さあ明日にでも映画館へ行くのだ。やってるとこ少ないけど。
