バタフライ・エフェクトを見てきました。エリック・ブレスとJ.マッキ―・グラバーコンビ監督で主演はアシュトン・カッチャー。2005年。[ASIN: B000AM6R00]
どうでもいいけど宣伝の「マトリックスを超えるオリジナリティ」ってのは誉め言葉じゃないと思います。ま、それはともかく。
カオス理論における「バタフライ・エフェクト」は複雑系においてミクロな初期状態の違いが次第に拡大し、マクロな系全体に影響を及ぼすという現象を示したものだ。
これをわかりやすーく映画にするとなると、ピタゴラスイッチみたいな面白連鎖反応話にするしかないのかもとか思ったりもするのだが、わかりやすい範囲にとどめつつそこそこ納得のいく筋立てとして成立させているのはえらいなあ。おすすめ度は4。
ひょっとしたら脚本家はジュラシックパークにおける「カオス理論の専門家」のいい加減な解説を見て「それってカオスじゃなくてマーフィーの法則なんじゃ…」と突っ込んだクチかもしれん。
さて、ネタバレ風味なので詳しくは追記部分で。
▼概要
数分間の記憶を失うという謎の症状を経験した少年は日々の出来事を日記に綴る。抜け落ちる重要な局面での記憶。彼の人生に何が起こったのか?何が間違っていたのか?一度間違ってしまったらそれまでなのか?
過去と行動の因果関係が織り成す記憶の上書きの物語。
▼誉
結構お気楽に見えて、後述の考察のように結構理詰めできちんと考えてある。ストーリーの流れにも大きな不備はなく、ひっかかりは少ないです。
事態の変遷が明確に目に見えるように、キャラクターはかなり極端な性格付けがされておりわかりやすく親切です。
そんでPG-12らしくいやーんな事象がいやーんなタイミングで描写されたりするのもいいですね。
▼貶
バタフライ・エフェクトといいつつも、操作に帰趨する因果関係はあきれるほど明白で、大きな影響が認められるのはせいぜい身の回りの人たちだけ。題名から期待されるような、取るに足らない違いが巻き起こす劇的な世界規模の影響なんかを取り込む余地がなかったのが残念なところ。
一種のセカイ系なのだろうか。
▼まとめ
意外によく考えて組み立てられたシナリオとスムーズな話運び。PG-12らしい適度ないやーん感ではなかろうか。そんなこんなでお勧め度4。
しかしあれだね。女は化粧とライトで化けるね。怖いぐらい。
▼考察
完全にネタバレなので反転させときますよ
まあぶっちゃけ、タイムトラベルものの一種ですな。この手の話ではいかに高度につじつまを合わせるかが脚本家の腕の見せ所。というわけでそのへん考察してみよう。
誰かが言ってた「人生やりなお師映画」って表現はいかにも的確です。選択肢式のストーリー重視アドベンチャーゲームからの影響を強く受けているのではないかと思われます。アメリカで日本のようなビジュアルノベル(ギャルゲーとか)が発達進化しているのかはよく知りませんが、テキスト主体のノベルゲーム様のものが大流行と15年前の雑誌に載ってました。って今はどうなんだろ。
さて、本作品において「日記のセーブポイント」は以下の6つ。
さて、ここで注目したいのは、それぞれの段階で「どのセーブポイントを選択したか」という点。
A'で(3)を選択したのは直前にそれを話題にしていたからでもあり、それが理由で発生した事態を回収するためである。
おそらく、Bでも(3)を選択したかったのではないだろうか。事情が明らかな分、どうせなら同じ場所をやりなおしたほうが予測がつけやすいし、当座の目的にも合致している。しかし、Bでは(3)の部分が入手できなかった。(6')を選んだのは状況的に選択肢がなかったからだろう。
Cで(5')を選んだのは、ヒロインの示唆によるものだ。まあ大きな懸念だし、(5')の選択によって(6')での選択そのものの消失が期待できる。
Dで(5)がもういちど利用できれば、ベストな選択が出来たのかもしれない。しかしここでは(4)以前を選ばざるを得なかった。(5')の結果によって(5)(6)のセーブが不可能になったからである。結局効果的な選択は(3')しかなかった。
まあ、Dの風呂場でそのままエンディングというのもそれはそれで美しいかもなとか思ったり。伏線回収してないからそれはないんだけど。
しかし、(3')の選択の結果、(3')以降のセーブポイントがすべて失われることになった。状況的に日記なんか書いてる場合じゃなくなったってことであるな。(1)(2)もその影響で廃棄されてしまったのだろう。
こうしてみると、適当に選ばれているかとも思えるセーブポイントは、その状況と事情によって明確に利用が制限されており、事実上他に選択肢は無かったことがわかる。セーブポイントの消失や、自分が死んでしまったかもしれない展開というのは当然予想できるわけで、それに対して配慮がないようにも見える展開だがやむをえないというところだろうか。
おそらく父も、事態を悪化させた挙句にセーブポイントを失ってしまったのだろう(医師の写真の話)。そういえば主人公の寿命はどうなったんだろ
